富岡氏一歩抜け出すか?/高崎市長選終盤、しのぎを削る3候補
(2011年4月23日)
市長に求める資質はリーダーシップ
ウェブニュース高崎新聞が4月17日に行った高崎市長選に関する調査で、富岡賢治氏が一歩優位に戦いを展開し、中島篤氏、松本基志氏が追う形勢となり、寺田昌弘氏の浸透が進んでいない様相を示した。まだ決めていないという回答も4割近くあった。
今後の高崎市に必要な政策では、大震災の影響もあり、防災対策に強い関心が集まった。公立病院・救急医療の充実、子育て支援・介護の充実など市民の安心・安全が強く求められた。市長に求める人物像としては、リーダーシップが最も重視され、中央とのパイプ、実績、人柄なども考慮されている。
市長に求められるリーダーシップでは、各陣営とも候補の資質を強調している。松本陣営は、合併時に100人を越えた市議会を議長としてまとめた松本氏の調整力、中島陣営は、市議8年、県議8年の中島氏の実績の中でのリーダーシップを打ち出している。富岡陣営は、文部省での教育改革、群馬県立女子大学で大学改革を断行した富岡氏の構想力、実行力を強く訴える。短期間で県立女子大学を変革した富岡氏の力量に期待がかかる。
24年ぶりの新人だけの市長選となり、富岡氏、松本氏、中島氏の得票が誰しもはっきりと読めない。勝ち馬がわからず、組織的に明確な支持を出しかねて、全方位外交や中立の立場といった安全策が選択され、3氏の陣営が入り乱れながらも鼎立してきた。
こうした日和見状態の中、県議選後大きく情勢が動いた。富岡陣営には、県議選で上位得票の自民系県議が加わった。また中曽根弘文後援会の会長をはじめ幹部が選対役員に名を連ね、中曽根弘文後援会が実質的に富岡陣営の全面的なバックアップに回った。福田派は青年部長が選対の幹部に名を連ねた。また松浦後援会の沼賀勝平連合会長が、富岡氏の座談会で応援の弁士をつとめ、富岡氏支持に声を上げた。さらに、連合高崎は既に富岡氏支持を早くから打ち出しており、民主系の県議の支援も受けるなど、富岡陣営は幅広い層をまとめた市民党的な組織となった。この動きが富岡氏が一歩抜け出すことにつながった模様である。
松本陣営は、元群馬町長(高崎市元参与)を選対幹部に迎えるなど、旧群馬郡地域での浸透を有利に展開し、同地域で強さを見せているようだ。松本陣営の顔ぶれは、箕郷地域の有力企業オーナーで元県議の有力者、前医師会長もいる。さらに合併時に議長を務めた人脈を活かし新市域の元市議や区長などの支援を受けている。
中島陣営も元群馬郡選挙区の県議が選対幹部をつとめ、強さを見せている。元箕郷町長(高崎市元参与)も出陣式で中島氏を激励している。また高商の同窓生の支援などを受けている。
旧群馬郡地域は、松本陣営、中島陣営にとっては選対幹部のお膝元。富岡氏の地域浸透をはねのけ、富岡陣営は緒戦から苦戦を強いられていた。しかし告示後に体制が整った富岡陣営が、これまで入れなかった旧郡部にどこまで食い込むかが注目される様相となっている。
明日24日の投票日は、4割のまだ決めていないという有権者と、投票率の動向が大きな鍵となるだろう。