グラスメイツ

(2010年10月)

グラスメイツ店舗外観

グラスメイツ店内

グラスメイツ芸能人に愛用者が多い人気のメガネ

グラスメイツ岩崎さん

メガネ店の店員も買いに来るメガネ専門店

グラスメイツ

 

 かつて3万円以上もしたメガネが、今では5千円以下で購入できる店もあり、ファッション感覚で気兼ねなく楽しむことが出来るようになった。しかし、メガネ業界自体への影響も大きく、低価格化の余波により小売販売額は大きく縮小した。

 そんな中、独自の販売戦略でお客さんの支持を得るメガネ専門店「グラスメイツ」に、本誌編集委員の金井浩さん(高崎青年経営者協議会理事長)とおじゃました。

 限られた市場ではあるが、高崎の地でお客さんから絶対的な信頼を得ている秘訣を伺った。

東京でしか手に入らないメガネが高崎で買える

 高崎駅西口から徒歩約3分のメガネ専門店グラスメイツ。15坪ほどの店内には、オーナーの岩崎さん自らが厳選した、フランス、アメリカ、ドイツなど世界各国のブランドメガネが並び、常時600本以上の中から選ぶことができる。

 岩崎さんは、太田市内でメガネ専門店を営むご主人を手伝ってきたが、以前服飾関係の仕事に従事していた経験から、ファッションの一部として楽しめるメガネに興味があった。

単なる視力矯正器具というだけでなく、最新流行のブランドメガネを扱う専門店を出したいと思っていた。

 しかし、地方の個人店が海外一流ブランドのメガネを扱うのは簡単ではなく、何度も東京のメーカーに通いお願いする日々が続いた。

「常に鮮度のある店を目指し、高崎からメガネの最新情報を発信したい」という想いは実り、平成11年、地方都市では比較的元気のある高崎に新店舗をオープンさせた。いわゆる“コンセプトショップ”と呼ばれる形態の店舗で、県内初だった。

 フランスの人気デザイナーのメガネを扱うまでには3年以上を要したが、現在では約30ブランドの商品が揃うまでになり、他のメガネ店の店員もプライベート用に買いに来るという。

 都内まで行かないと手に入らなかったメガネが、高崎で手にすることができるようになったのである。

限られた市場にターゲットを絞る

 ここ10年、いわゆる「メガネのユニクロ」とも呼ばれているSPA(製造小売)企業の出現により、メガネに対する認識は大きく変わった。

 流通の簡素化、割安な輸入フレームの導入、販売の効率化などにより価格を抑えた結果、「安さ・速さ」が消費者に支持されたのである。

 「お客さんは二極化しています。雑貨感覚でメガネを求める人もいれば、多少高価格でも機能性やデザイン・素材にこだわる人もいます」と岩崎さん。グラスメイツは後者をターゲットとしたのである。

 グラスメイツが扱うフレームは2万円~6万円が中心となるが、レンズを含めると10万円を越えるメガネもある。

 メーカーとの契約上、仕入れたブランドフレームの多くは返品不可で、値引き販売も出来ない。売れ残ると在庫となる。

 同行した金井さんも、リスクの高い商売に驚きつつも、業種は違うが同じ経営者として商いの厳しさを再認識したという。

マニアックな話しにメガネ好きが集まる

 店舗は高崎駅には近いが、裏通りに位置し決して恵まれた立地条件とは言えない。
 しかし、県内外遠くは茨城県などからもお客さんが来る。
 テレビや雑誌などを見て、有名人が使用するメガネと同じものを求めて来店するのである。

 口コミもあるが、多くはインターネットで検索し、グラスメイツにたどり着く。
 一番人気は、世界的に有名なフランスの“アランミクリ”で、グラスメイツには常に最新のフレームが並ぶ。しかし、レアな品揃えを充実させるだけでなく、どうしたらお客さんが納得できる品質の商品を、納得できる価格で販売することができるかが重要となる。

 そのためには、スタッフの存在がカギを握る。岩崎さんは、メガネに関する質問には全て答えられるような店にしたいと考え、3名のスタッフも専門知識の修得や情報収集に余念がない。

 お客さんの中には、スタッフとの会話を楽しみに来店される方も多い。デザイン・素材のこだわりから始まり、多少マニアックな内容に話しが及ぶこともあるという。

 スタッフは、そうした会話の中からお客さんの好みやこだわりを察知し、次に来店された時に新たな商品を提案する。

“かゆいところに手が届く”接客術

 メガネのフィット感は人それぞれ違うし、顔も左右非対称で、サイズが合ってないとストレスにもつながる。フレームの微調整だけでも誠意をもって対応し、お客さんはもちろんだがスタッフ自身が納得するまで時間をかける。

 専門店を選ぶ消費者は、そのような“かゆいところに手が届く”対応を選択する。

 厳選された品揃えと、専門的な商品知識に裏付けされたスタッフの対応や人柄が、安心感を与え顧客になる。そして、直接対話することで、その人が求めているものを感じ取り、最良の商品とサービスを提供するのである。

 そんな接客術こそが、独自のビジネスモデルであり、グラスメイツが支持される理由なのだろう。

代表:岩崎ふみえ
所在地:高崎市砂賀町56-1
電 話:027-310-2060
URL:http://www.glass-mates.co.jp/

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