食関連のIT企業「ぐるなび」が高崎に進出
高崎の農畜産物を全国へ!
高崎ブランチが出店予定
飲食店検索サイト「ぐるなび」を運営する株式会社ぐるなびが、駅西口の慈光通りに生産者と飲食店とをつなぐ交流スペース「高崎ブランチ」を今年7月に開設する。「ぐるなび」は、この拠点を利用して、高崎の生産者・飲食店にどのような効果をもたらすのか、お話を伺った。
"情報問屋"を目指す企業戦略
飲食店検索サイト「ぐるなび」は、東証一部に上場する売上高約250億円、従業員数約1,300人の企業で、食に関わるあらゆる領域で全国展開し、新しいビジネスモデルを生み出してきた。ユーザーからは、『飲食店を検索するサイト』という捉え方をされているが、実は飲食店の活性化やそこで扱う食材を作る生産者の販路拡大などにも力を入れている。
最近では、自治体と提携して、地域の食材の販売促進やブランドの構築などにも取り組んでいる。溝上取締役は、「高崎ブランチは、北関東の拠点として今後力を入れていきたい」と話す。高崎市が「高崎そだち」として売り出している高崎産農畜産物の販売プロモーションも昨年から手掛けている。
生産者との接点を強めて、より一層の販売促進を進めていくために、食に関わるあらゆる人々が自由にセミナーや交流会などに利用できる場所を設ける必要性があると高崎進出を決めた。
このように、ぐるなびは飲食店の情報だけではなく、全国の食材や加工品など、食に関するあらゆる情報を扱う"情報問屋"になろうとしている。
日本最大の料理コンテストに高崎賞
昨年の「シェフツアー」の様子
高崎市はぐるなびで行っている日本最大級の料理コンテスト「ぐるなびベストオブメニュー」に、新たに協賛賞として「美味開運・高崎賞」を設置した。これは、高崎市産の食材を使ったメニューに対して、高崎市から協賛賞を贈るというもの。
コンテスト全体で約1,000件の飲食店から応募があり、審査を経て、10月に優勝メニューなどと共に、高崎賞の最優秀賞、優秀賞が発表される。高崎市では、全国から集まったレシピを高崎産食材のPRに生かしていく予定だ。この料理コンテストへの協賛賞の提供は、行政としては高崎市のほかには秋田県しか行っていない。
その他にも、一年を通じて様々な取り組みが行われる。例えば、東京や横浜などのレストランシェフを招いて高崎市内の生産者をめぐるシェフツアーや生産者向けのセミナーや交流会など。今回、開設される高崎ブランチがそういった場面での利用が想定されている。
「高崎ブランチ」で生産者の意識変革へ
ぐるなびは、高崎ブランチを営業拠点ではなく、生産者や飲食店の支援拠点と位置づける。特に、なかなか表に出ることのない生産者に注目し、良いもの作っていることへの自信を深めてもらい、自らの産品を自らの手で売ることができるように、自力を付けるための支援が重要であると考えている。
多くの人で賑わった「マルシェ・ジャポン」
現在でも、東京や横浜を中心に高崎産農畜産物を販売するイベントを開催しており、東京・六本木などで行われている「マルシェ・ジャポン」では生産者が自ら作った野菜などを直接消費者へ販売を行っている。
このように生産者が直接シェフや消費者へ販売を行うとなると、自分が作った農産物などの特徴や調理法などを熟知していないとなかなか難しい。そのため、全国から集めた様々なノウハウを持っているぐるなびが、うまく販売するための知識や方法論を市内の生産者に伝えていく。
高崎の生産者や飲食店をもっと魅力的に
高崎産をブランドに
また、市内の飲食店を対象にぐるなびが持っている情報を提供することも考えている。これから人気が出ると予想される食材やメニューなどを、市内の飲食店向けにセミナーなどを開催し伝えていくという。ぐるなびは全国から情報を集められることもあり、市内飲食店には心強いサポーターとなりそうだ。
ぐるなびのこれらの取り組みは、即効性のあるものではないが、継続して行うことにより生産者や飲食店の成長につながっていくだろう。さらに、ぐるなびにとっても飲食サイトへの登録増加も期待でき、新しい情報を充実させることにつながっている。
「生産者や飲食店のネットワークを広げ、高崎を盛り上げるきっかけになりたいです」と溝上さんは言う。このような取り組みにより、高崎の飲食店や生産者の活性化が図られれば、高崎のまち全体が盛り上がっていくだろう。