若手作品が好評だった映画祭/入場者は昨年の半分
(2011年4月19日)
計画停電が心配されたが全作品上映
東日本大震災の影響を受け、開催が危ぶまれた高崎の春の風物詩、第25回高崎映画祭が先日幕を下ろした。今年は、3月26日(土)から4月10日(日)まで、高崎市文化会館・高崎シティギャラリー・シネマテークたかさきの3会場で54作品の映画が上映された。期間中は計画停電で上映中止が懸念されていたが、停電が実施されなかったため、すべての作品が予定通り上映された。
震災の影響で入場者が半減
震災の影響もあり、全体の動員数は延べ4500人と昨年に比べ約半分にとどまった。もっとも動員数が多かったのは群馬交響楽団の創立を描いた『ここに泉あり』で201人。1カ月前に前橋市での上映後にも関わらず多くの来場者があり、上映終了後には観客席から大きな拍手が起こった。ついで、『オーケストラ!』の176人、『マーラー君に捧げるアダージョ』の140人であった。平均すると各回80人程度の来場者数であった。
飛び入り舞台挨拶のサプライズも
授賞式は中止されたが、『時をかける少女』の谷口監督や『ヒーローショー』の井筒監督など6名の監督が飛び入りで参加するなどサプライズもあり、観客から多くの反響の声があった。また、シネマテークたかさきでの上映は『ハッピーエンド』で満席が出るなど若手作品が好評で、こうした観客動員を支えたのがツイッターだったという。「『ハッピーエンド』は先行上映していた千葉映画祭のツイッター協力から始まり、それを見たフォロワーの間で映画の話題が広がったことが大きかった」と映画祭ディレクターの志尾睦子さんは言う。今回の映画祭ではツイッターのフォロワーの輪による新しい形での映画の観客動員を目の当たりにする結果となった。
当日券を千円で販売
授賞式が中止となったほか、計画停電の実施に伴い予定作品が上映できなくなる可能性を考慮し、今年に限り前売りチケットの払い戻しと当日5作品券、当日フリー券が発売された。当日券も例年は1200円だが、今年は1000円で販売された。
例年と異なったチケット販売であったが、映画祭事務局の早い対応と観客の協力により大きな混乱もなく、特に当日5作品券は非常に評判が良かった。反面、毎年フリー券を利用している観客が今年は5作品券、当日券を買い求めるケースも多かったようである。
さらに、会場には義援金の募金箱が設置され、期間中に約10万円の募金が集まった。集まった募金について志尾さんは「多くの義援金が集まっていながら、いまだ割り振りができていない現状がある。映画祭で集めた義援金は特定の地域に送りたい」と話している。