高崎映画祭が閉幕
(2012年4月9日)
最後の2日間は入江監督、塚本監督が来高
3月24日に開幕し、16日間にわたって映画ファンを楽しませた第26回高崎映画祭が8日に閉幕した。
映画祭、最後の週末は、7日に全国初上映の『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』、8日は前日に封切られたばかりの話題作『KOTOKO』の2本が招待作品として上映され、『サイタマノラッパー』の入江悠監督や主演奥野瑛太さん、テック役の配島徹也さん、イック役の駒根木隆介さんら、『KOTOKO』の塚本晋也監督が舞台挨拶を行い、今年の映画祭のフィナーレを飾った。
舞台挨拶では、撮影の裏話などを盛り込みながら、入江監督は「映画は見てもらって完成します。記念すべき全国初の上映を高崎の皆さんに見てもらって感謝しています」、駒根木さんは「今日、初めての上映となり、いっしょに感じあえてうれしいです。たくさんの人に支えられてうれしいです」、 塚本監督は「不安な世の中を生きる女性の生き様を観てほしい」と語った。
高崎映画祭の志尾睦子(しお・むつこ)さんは、「つらい思いを抱えながら、先に向かって進む力を見つけていくのが今年の映画祭でした。最後に上映する作品を毎年悩みますが、念願がかなって『KOTOKO』を上映できました」と話していました。
塚本監督は、高崎新聞の取材で、『KOTOKO』について語った。
塚本監督 「Coccoさんの『私にはものが2つ見える』という話から、Coccoさんの世界を一気に脚本にし、手塩にかけた作品です。自分の母親への鎮魂をベースに、戦争の恐怖や大切な人を守ることの難しさを今、描く必要があると思いました。震災前に脚本を書き、その後手を加えていませんが、震災後の姿や放射能に対する反応は、KOTOKOの姿と重なります。不安な世の中を生きる女性の生き様を観てほしい。登場人物の田中は、私自身を投影しています。KOYOKOの部屋に飾ってある布やソファなどは、Coccoさんの部屋から持ってきて撮影しました」。
-ベネチア国際映画祭など海外で大きな評価を受けたことについては
塚本監督「ベネチアでの反応はあたたかく、鳴りやまないスタンディングオベーションに自分でも呆然としました。この作品は、自分で何回観ても飽きません。自分で観て面白い作品です」。
-高崎映画祭については
塚本監督「高崎映画祭はとてもあたたかい感じがします。亡くなられた茂木さんは映画に対する情熱、パワーを持っていました。ヴィタール(第19回高崎映画祭最優秀作品賞)の時は、茂木さんと志尾さんの二人と話をしました。高崎映画祭は、若い人が茂木魂を受け継いでくれてうれしいと思います」
-是非、高崎で映画を撮影してほしいと思います。次の作品のお考えは。
塚本監督 「私の場合は、脚本が先にあって、撮影にふさわしい場所を探します。構想はたくさんあります。戦争映画、時代劇、怪獣映画も作りたいですね」
-ありがとうございました