第10回吉野秀雄顕彰短歌大会入賞作品
(2011年12月16日)
木村副市長から賞状を授与される受賞者
最高賞に井上さん、松田さん、飯島さん
一般の部
【吉野秀雄賞】
脳梗塞の検査に入る難聴の夫は振り向く縋る目付きに(井上あやめ)
【高崎市長賞】
シャッターを降ろしし店の連なりて小さき呉服屋また一つ消ゆ(佐藤正子)
【高崎市議会議長賞】
農繁期を子守に過ごしし少女期よ熟れ麦にほふ野に甦る(稲葉明子)
【高崎市教育長賞】
血族のつながり深し呆けたる伯母は違へずわが名呼びたり(善如寺裕子)
【高崎市文化協会長賞】
一面の青田を渡る風の道ありありと見ゆ葉裏かへして(栗原伸子)
【群馬県歌人クラブ会長】
目に見えぬセシウム空を流れしか今日の夕焼け殊更赤し(笛木力三郎)
学生の部
【吉野秀雄賞】
震災のテレビで見た子も四年生がんばろうねとテレビにさけぶ(松田芽衣)
來竹桃今を盛りと咲きほこる観る人もなき廃校の庭(飯島ひかる)
【高崎市長賞】
長い髪バッサリ切ってボール追う風が変わった気がする今日は(久保原彩)
初蝉の声儚くも哀しげに夏を悼むか晩夏時雨れる(伊藤隆晃)
【高崎市議会議長賞】
本当はぼくがわがまま言ったのに夜食差し出す母のやさしさ(綿貫倫太郎)
何となく作り物のような山と空光を浴びて自転車を漕ぐ(坂本泰祐)
【高崎市教育長賞】
誰か吹くトランペットの音だけが応援歌となる図書室の夏(小幡卓也)
今月も絵手紙届く祖母からのたまには返事書いてみようか(鈴木純平)
【高崎市文化協会長賞】
被災地の友に思いをよせながら汗も拭わず曲を奏でる(石川菜々子)
東北が一つになった六魂祭復興ささえる不屈のちから(小野杏)
【県歌人クラブ会長賞】
たどりつく群馬の里の湯につかりふるさと語る福島の人(田中沙英)
薄明に船出の音を聞きつけて優しく閉じる絵本の途中(高倉慎矢)
【ラジオ高崎社長賞】
立ちあおいピンクにふわりしお風をふくんでなつの匂いをはなつ(中田光紀)
白球にみんなの想い託す夏聖地の中で掴みとる夢(清水蓮)