スレッジ型バルコニーの音楽ホール
(2013年12月12日)
文化芸術センターの設計業者が決定
高崎市は、高崎駅東口で進めている都市集客施設の建設計画で、新しい音楽ホールなどを含む「高崎文化芸術センター」の設計業者について、株式会社佐藤総合計画を選定したことを12日に発表した。
都市集客施設は、東エリアの高崎文化芸術センターと、西エリアの再開発エリアで構成され、高崎文化芸術センターの計画が先行して進められている。
設計業者の選定はプロポーザル方式で行われ4社が参加した。11月までに技術提案書を提出、12月1日に選定委員会のヒヤリングと審査が行われ、同社が最優秀に選ばれた。次点は株式会社日建設計となった。佐藤総合計画は、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール、アルカス佐世保、伊丹市立文化会館、函館市民ホールハーモニー五稜郭などを手がけている。
同社のプロポーザルでは、高崎駅からの人の流れを考え、東口線側にエントランスロビーを配置した4階建て。東西に連なるスクリーンのような都市景観でまちなみを特徴付け、ホールを主体としたシンボル性のある配置で、音楽ホールの存在感を高めた。音楽ホールの外観は、高崎の伝統産業の染色から紅板締めの紅色を選んだ。高崎文化芸術センターと再開発エリアで形成する交流ゾーンをクリエイティブスクエアとし、スタジオや小ホール、ギャラリーが一体的に構成されている。
メイン音楽ホールは約2000席、音響に優れたシューボックスホールで、舞台と客席が一体感のある「スレッジ型(そり形状)バルコニー」が提案された。バルコニーも全席がステージと対面するように設計されている。音質では、残響は2秒を上回る目標設定を可能とし、演目に応じて調整し、残響を減らすことができる。
群馬音楽センターでは、音響面やステージ構造の他に、ロビーが狭く入場待ちの客が屋外に並ぶ、楽屋が少ない、搬出入が不便などの問題を抱えており、新ホールでは運用面でも使いやすい構造が工夫されている。
選定委員会では、まちづくりの視点、隣接する再開発事業とのつながり、にぎわいの創出、高崎らしさの提案などが評価された。
高崎市は、提案をもとに詳細を検討する。提案にはパイプオルガンが含まれているが、富岡市長は「細部はこれから変わってくる。あくまで設計技術を示すもの。パイプオルガンの設置は音楽関係者でも考えが二分されている。過剰な投資は避けたい」とパイプオルガンについては消極的な考えを示した。