上野三碑の知名度上げ観光活用を
(2013年12月日)
世界記憶遺産のへの登録も視野に
高崎市が有する山上碑、多胡碑、金井沢碑の上野三碑の価値を見直し、歴史観光の視点も含めた調査研究を進めていこうと、「上野三碑顕彰会(横島庄治会長)」が発会し、8日に高崎経済大学で記念講演会が行われた。
顕彰会は、横島会長(元高経大教授)、久保信太郎さん(初代多胡碑記念館長)、熊倉浩靖さん(県立女子大教授)のほか、地元県議2人、地元高崎市議7人が立ち上げに賛同している。三碑の学術的、文化的価値を市民に理解してもらうとともに、歴史観光の資源であることを重視し、三碑見学のための交通体系の整備なども公的機関に働きかけていく。
横島会長は、記念講演会のあいさつで「世界記憶遺産は地方自治体が申請でき、高崎市も不可能ではない。新しい運動体を作っていきたい」と述べ、戦略的に展開するチャンスであることを強調した。
世界記憶遺産は、歴史的な文書を保存、利用していくもので、アンネの日記やベートーベンの自筆楽譜、マグナ・カルタなどが登録されている。日本では、筑豊の炭坑画、慶長遣欧使節団関係資料、御堂関白記が登録されている。
富岡市長は「すばらしい文化遺産が教育や観光に十分に生かされていない。三碑への案内も少なく、高崎の観光戦略を見直していきたい」と顕彰会の考えに強い賛意を示した。
記念講演では、館林市史編さんセンター専門指導員の前澤和之さんが上野三碑の歴史的な意味を東国の政治や当時の社会背景から考察した。前澤さんは「三碑は、同じ地域にあって相互の関係を考えることができる日本で唯一の場所。古代石碑の回廊として歴史的価値は格段に高く、古代国家の東国政策の実態や、地方での政治の在り方を生々しく記録している」と三碑の価値を説明した。