養蚕農家や町屋など保存を支援
(2013年8月12日)
新制度に31件の申込み
養蚕農家や町屋など、地域で長年愛されてきた歴史的建造物を保存するため、高崎市が今年度に創設した「歴史的建造物登録制度」に、31件の応募があった。
この制度の対象は、建築されてから50年以上が経過し、所有者がこれからも保全・活用する意志があり、良好な景観形成に寄与していること、国・県・市指定重要文化財、景観重要建造物に指定されていないことが条件。
市では、応募された建造物を調査し、景観価値に応じて、費用助成を含む支援策が受けられる「特定歴史的景観建造物」、費用助成以外の支援策が受けられる「歴史的景観建造物」を選定し、9月の高崎市景観審議会にはかる。
「特定歴史的景観建造物」に登録された場合は、建物の外観などを修復する際、かかった費用の3分の2、上限300万円が助成される。
31件の内訳は、高崎地域13件、箕郷地域4件、群馬地域4件、新町地域1件、榛名地域6件、吉井地域3件。倉渕地域からの応募は無かった。建物の種類では養蚕農家14件、町屋5件などとなっており、地域経済を支えてきた養蚕や商都高崎の歴史を伝える家屋が含まれている。
高崎市では、歴史的な建物を維持しながら生活している市民の思いを尊重しながら、各地域の景観を保全していきたいと考えている。
高崎市では「明治時代に建築され100年以上経過している家屋もあり、しっかり補修すれば、末永く住み続けてもらうことができる」と話している。
一方、歴史的な家屋は高齢者世帯が居住していることが多く、後継者がいないことも市の調査の中で浮かび上がってきた。高崎市では、「対象はまだたくさんある」と認識しており、この制度を継続させ、貴重な歴史的建造物を一つでも多く、次世代に伝えていきたい考え。
また、市では、「歴史的建造物を修繕できる職人や建築材についても情報を集め、提供していくことが大切」と指摘する。建築士会でも、歴史的建造物を保全していこうとする活動があり、市では連携が必要と考えている。