井筒監督「感無量」/高崎映画祭授賞式
(2013年3月25日)
受賞者11人、豪華な顔ぶれ
第27回高崎映画祭が23日(土)に開幕した。24日(日)に高崎市文化会館で行われた授賞式には、受賞者11人全員が出席し、豪華な顔ぶれとなった。
高崎映画祭の須藤賢一運営委員長は「高崎の芸術文化の一角となっている高崎映画祭をこれからも応援してほしい」、富岡賢治市長は「亡くなられた茂木正男さんが始められた高崎映画祭が立派に育っている。高崎映画祭とシネマテーク高崎は、高崎の誇りであり、手作りの映画祭を続けてほしい」とあいさつした。 主演男優賞の夏八木勲さんは「映画祭を支えてきた高崎市民の皆様の、暖かい心があってこそです」、最優秀監督賞の井筒和幸監督は、「ありがとうございました。久しぶりの高崎ですね。感無量です」と受賞の喜びを語った。
受賞の言葉
新進監督グランプリ・三宅唱監督
生まれて初めての受賞で、緊張と感動で、いつもより熱が上がってしまっています。とてもうれしいです。僕だけの力ではなく、僕と同世代の映画スタッフ、撮影地の水戸の方の協力で撮ることができました。
俳優をじっくり見て、彼らの人生を考えました。すると友達や母、普通の人を見ても新しい魅力や違う面が見えてきました。まちなかを歩いていて、すれ違う人も、今までと違うふうに見えてきました。すると人にカメラを向けて映画を撮ることが、僕の中でとてもしっくりくるようになりました。今、「映画を取り戻す」というとてもうれしい言葉をいただいたのですが、今あるものにカメラを向けることを俳優に教えてもらったと思います。これからもいい映画を撮っていきたいと思います。
最優秀新人男優賞・満島真之介さん
「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」で若松孝二監督という大巨匠に出会い、カメラの前に立つのが光栄でした。僕たち、平成に生まれ、新たな時代を作っていかなければならない若者たちが、時代を超えた世界、映画を通して、愛を持って一歩一歩前へ進みたいと思っています。
若松監督は天に旅立たれましたけれど、その熱い思い、もらった言葉と監督の背中を思い出して新しい時代をしっかりと築いていきたいと思います。将来の夢ですけれど、三宅監督と映画を作りたいです。
最優秀新人女優賞の高梨臨さん
高崎に来る時に何を言おうか考えていましたが、これ(トロフィー)をもらったら、何を言おうとしたのか忘れてしまいました。受賞したみなさんの映像を見ている時に、映画はすごくすばらしいと思いました。私はお芝居が本当に好きで、お芝居の現場にいられることが毎日幸せです。こうして賞をいただくと、がんばらないといけないという気持ちになりました。また高崎映画祭に呼んでいただけるようにがんばります。
最優秀助演男優賞の窪田正孝さん
歴史ある高崎映画祭で賞をいただけたことは、監督、スタッフ、これまで支えてくださったみなさんのおかげだと、心から思っています。そうそうたる役者の先輩方がこの賞されているので、賞に恥じないように初心に戻ってがんばりたいと思っています。
最優秀助演男優賞の溝端淳平さん
井筒監督の作品に出させてもらうことが夢でした。「岸和田少年愚連隊」が小さい頃から好きで、出会ったのは小学生でしたが、いまだに見返すこともあり、心に刻まれた作品です。井筒監督とご一緒できて本当に幸せだし、すばらしい先輩の俳優に囲まれ、僕にとってはぜいたく過ぎる経験でした。
人々の記憶に残る作品に出させてもらうのは幸せです。これからもがんばって、たくさんの人の記憶に残るような俳優になれるように精進したいと思います。
最優秀助演女優賞の安藤玉恵さん
すごくうれしくて、受賞してから興奮してしまったんです。アカデミー賞の授賞式を見て、最優秀助演女優賞のアン・ハサウェイさんが、ピンクのドレスを着ていたのですが、そういうふうにいきたいと思ったのですが、自分には似合わないなと思って、この服で落ち着きました。この話しをしろと、西川監督言ったので。
西川監督と3作品目で、私は監督の作品が大好きですし、こうした役をさせてもらってすごくうれしかったです。かわいい役で、自分にできるかわからなかったのですが、演じることができました。
最優秀主演男優賞の夏八木勲さん
昨年の10月末に封切られ、この映画のテーマをどう観てくださるか心配でした。「希望の国」のスタッフと祈るような気持ちでいたところ、12月に高崎映画祭から、僕に賞が決まったという知らせが来まして、本当に大きな励みをいただきました。12月は僕の誕生日もひかえていて、映画祭から花束が届き、これはうれしいなぁと思っていたら、バレンタインデーにはチョコレートが届きました。その後、実に見事なトマトが贈られてきました。暖かいもてなしを受けて感激しました。この暖かい映画祭の裏に、映画祭を支えてきた高崎市民の皆様の、暖かい心があってこそのもてなしだと思っています。
高崎の皆さん、高崎映画祭の関係者の皆さん、本当にありがとうございました。
最優秀主演女優賞・田畑智子さん
賞をいただいて身に余る光栄だと思っています。舞台のそでで、小さい頃からのこと、デビューしてからのことを考えていました。私が、こういう場に立てることは、あの頃からは信じられません。今までとても恵まれてきたと思います。この作品に出会えたことも、監督、共演者の皆様、スタッフの皆様にとても感謝しています。まだまだ成長しなければいけないと思っていますし、人との出会いを大切にして、一歩ずつ着実に歩いていきたいと思っています。
最優秀主演女優賞の松たか子さん
高崎の皆さん、こんばんは。本当に素敵な賞をありがとうございます。魅力的な皆さんとともに受賞できることを本当に幸せに思っています。最後まで人間的に引っ張ってくれた西川監督に感謝しています。そして今日は、ともに撮影を乗り切った安藤さんとこの場所に来られたこともすごくうれしいですし、制作に関わった方々にも感謝しています。阿部サダヲさんとお芝居をすることが楽しくて、説明できないので皆さんに私になってもらいたいくらい、阿部さんとお芝居をすることは面白いセッションでした。
この賞をありがたく思っていますし、また皆さんにおもしろがってもらえる映画に関われるように精進します。
最優秀監督賞・西川美和監督
自分では、こうした賞をいただける作品にはならないだろうと思っていました。みんなにほめてもらえない作品になるかもしれない、でも自分が女性として三十数年生きてきて、実感として感じた醜さも、美しさも優しさも、全部、作品の中で余すところなくぶちまけようという覚悟で作った作品です。舌触りの良い作品では無いでしょうし、賛否両論をいただくだろうと思いながら作りました。タイトルには「夢」が着いていますが、女性の夢をぶち壊しにするような作品でもあります。
監督賞をいただけるとすごく励みになります。高崎映画祭には、私のデビューの頃から応援していただき、次もまた、高崎に来たいなと思います。
最優秀監督賞・井筒和幸監督
ありがとうございました。久しぶりの高崎ですね。感無量です。