“色を詩でつづる画家” 脇田和
(2011年11月7日)
「鳥に話す」1953年 油彩・カンヴァス
「四色の季節」1997年 油彩・カンヴァス
-高崎市美術館で今月10日まで開催中-
「心の中の暖かな部屋 脇田和」が、9月14日(水)~11月10日(木)まで開催されている。この展覧会では、軽井沢の脇田美術館所蔵の作品と高崎市美術館所蔵の作品から、代表作が展示されている。
脇田和は、作品の中で言葉を語る作家とされ、「色を詩でつづる画家」と言われている。1908年東京に生まれ、ドイツ留学を経て東京芸術大学の教授となる。モダニズムを代表する作家で、1975年に軽井沢にアトリエを建てたのち、97歳という長い人生を全うした。
脇田は、15歳で渡独し、ドイツ修行時代に入る。ドイツ式デッサンは、一生の土台となった。
1940年後半から1950年初頭は、脇田にとって世界へ飛躍する気持ちが強い時期となった。「放鳥(1953)」から、脇田が一生描き続けるモチーフの“鳥”が登場、名声が高まっていく。初期の代表作に「鳥に話す(1953)」がある。ユーモアあふれる鳥たちの表情が見どころで、同美術館一押しの作品。透明感・すがすがしい色彩感を表現するのも脇田の特徴とされている。
1980年頃、ハワイで心臓手術をした時期。絵を描き続けることの喜びを表現するかのように、赤や緑の鮮やかな色をのせて描かれるようになる。代表作は、「亜熱帯の漂流物」。リハビリのため自動車教習所へ通うことをすすめられ、「ポンコツ車を誘導する鳥(1981)」を生み出した。2羽の白い鳥が“医者”を意味し、自身を車に重ね、鳥の指示に従っている様を描いたユニークな作品。
2000年以降、すでに90歳を超えているにも関わらず、サイズの大きな作品に取り組むことが多くなる。年齢を重ねるごとに色彩が鮮やかになり、この時期の最も特徴的な作品に「四色の季節(1997)」がある。この作品は、4つの鮮やかな色彩が響きあう軽井沢の四季を表現している。
油彩の他にも、東京芸術大学教授時代に教えていた色々な技法を使った版画や、軽井沢のアトリエから借りているオブジェやコレクションも楽しめる。また、今現在制作中かのように残されている軽井沢のアトリエの写真も展示している。