新しいホールを芸術創造の場に/高崎音楽祭シンポジウム

(2011年10月31日)

新しいホールを芸術創造の場に/高崎音楽祭シンポジウム写真を拡大左から、根岸さん、沼尻さん、友岡さん、田中さん、平井さん

高崎の都市戦略と芸術文化、群響を考える

 高崎音楽祭は、10月30日に、群馬音楽センター2階ホワイエで、シンポジウム「高崎に新しい音楽ホールを-新たな響きの空間を求めて」を開催し、高崎市が建設を進めている新しい音楽ホールのあり方について、高崎の都市戦略と芸術文化、群馬交響楽団の視点から議論した。

 高崎音楽祭は、「文化が都市の力になり、戦略的な都市装置として、新しいホールを整備することが求められている。都市文化の創造がはかれ、高崎の活力やにぎわいを創出するすることが必要だ。高崎にどんな音楽ホールがほしいか、どんな音楽ホールが必要か議論をするきっかけにしたい」と、このシンポジウムを実施した。

 新しいホールについては、群馬交響楽団の拠点機能を持たせることが示されており、富岡市長は、あいさつの中で「高崎のまちが音楽であふれるには、創造活動のメッカを作る必要がある。ホールには練習場所やミニコンサートなど、多様な活動を支援する機能を持たせることが大事だ」と考えを述べた。

 シンポジウムは、根岸良司さん(高崎商工会議所小売部会長・ラジオ高崎キャスター)、を司会に、友岡邦之さん(高崎経済大学准教授)、田中則之さん(ミューザ川崎元総支配人)、平井誠一(元高崎音楽文化協会事務局長)、沼尻竜典さん(群響首席指揮者兼芸術アドバイザー)がパネリストをつとめた。

 友岡さんは「日本では、日常の中で芸術を身近に感じているとはいえない。市民の鑑賞力や批評力を育てることが必要だ。新ホールが芸術のすごさを多くの市民に実感させる仕組みをかたちにしてほしい」、沼尻さんは「どういう音楽を市民に提供していくか、新しいホールの運営には考える能力が必要になる。音楽センターを市民活動の場として位置づけていくのかも、新しいホールの位置づけも変わる」と、芸術活動の核としての働きに期待した。

 クラシック専用ホールと多目的ホールは、ステージの構造など、設計が大きく異なり、本来、両立が難しいことから、田中さんは「高崎市が元になるプランを示し、市民と議論するプロセスを設けてほしい。新しいホールは、群響が年間に200日使い、コンサートが毎週行われるようにしてはどうか」と提案した。平井さんは「ポピュラー音楽のコンサートは、ステージ装置が大きくなり、音楽センターの舞台に乗り切らなくなり、前橋や桐生の会館で行われるようになった」と、クラシック音楽用のステージと、ポピュラー音楽用のステージは、構造が相反することを説明した。

 ホールを運営する立場、コンサートを運営する立場、音楽を演奏する立場、音楽を聞く立場の市民が、それぞれの意見を交わし合う初めての機会となり、今後も、こうした議論の継続が期待された。

 シンポジウムは、ラジオ高崎の特別番組として放送される。

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