小さな命の旅立ち2000人が見送る
(2011年3月5日)
烏川にサケの稚魚を放流
3月5日、和田橋付近の烏川と碓氷川合流点周辺で、市民約2000人が、自らが孵化させたサケの稚魚を放流した。これは、「僕らのサケを育てる会」が毎年行っている事業。サケの卵を市民の希望者に配布し、孵化させ、放流をしてもらう。今までは、水産試験場から購入した卵を配布し放流していたが、今年は遡上したサケの卵が確認、保護されたため、遡上したサケの産んだ卵から孵った稚魚も放流した。
放流式典で、同会会長の酒井裕次さんは「放流は、24回目となる今年、はじめて烏川産のサケの放流ができた。」と喜びをあらわにした。国土交通省関東地方整備局高崎河川国道事務所長の稲野茂さんら7名が来賓として出席。稲野さんは「みなさんの行動に感謝する。これからも安全・安心な河川整備と同時に自然豊かなやすらぎ、うるおいのある河川づくりを目指す」と語った。
その後、市民が自分たちで育てた稚魚を放流。毎日餌をやって大事に育てた稚魚に「元気でね」など声をかける人もいた。
同会の小池秀明事務局長は「手塩に育てた稚魚を手放すのは寂しく感じる人も多いと思うが、自然の摂理のもと、命を循環させることが大切。放流で子ども達が生命の尊さを知るきっかけになれば」と教育面の効果も期待した。
本事業は、高崎も昭和40年代頃から、河川環境の悪化によりサケの遡上が見られなくなった事をうけ、1979年に札幌市で行われた「カムバックサーモン」運動がきっかけとなり、全国に広まった市民運動を高崎でも行ったのが始まり。自然環境について改めて考え、また、稚魚に育てるまでの過程での体験や感動を通じて、自然が教えてくれる尊さや、それを守るやさしさ、強さを身につけることを目的としている。