1400年前のデザインを堪能
(2011年11月11日)
第23回企画展 輝ける大刀―古墳時代の装飾― 高崎市観音塚考古資料館
「輝ける大刀(たち)―古墳時代の装飾―」が10月22日(土)から12月11日(日)まで高崎市観音塚古墳で開催されている。この企画展は、国の重要文化財や県・市町村指定文化財の大刀や柄頭(つかがしら)等52点を展示。権威・権力の象徴である鳳凰や龍のデザイン、金や銀の装飾を中心に集められた。
5世紀後年の「木製刀」から7世紀後年の金属刀が年代を追って展示され、柄頭や大刀のデザインが変化していく様子や、「銀象嵌(ぎんぞうがん)」の制作手順も丁寧に説明されている。「銀象嵌」のデザインは、虫眼鏡で拡大することにより、約1400年前の細かな細工がより鮮明に浮かび上がる。観音塚古墳から発掘された「毛髪」や「人骨片」、「人歯」も、今回特別に公開されている。
貴重な資料も紹介され、国の重要文化財である「銀製唐草文透鞘金具」は、出土時の状態がよく、すぐれたデザインを堪能できる。「金銅製単鳳環頭大刀」の柄は、点描を打った模様が特徴的で、柄頭は、環の中心に鳳凰がかたどられている。国内で製作された大刀は、より趣向を凝らしたデザインでセンスのよさが感じられる。
ニワトリのトサカに似ていることから名が付けられた「銀製鶏冠頭大刀柄頭」は、パルメット文様(ナツメヤシモチーフ)が特徴で、聖徳太子像(唐本御影)に描かれた童子が同様の刀を所持していることから、観音塚古墳から発掘された王は、相当の権力者だったと推測される。
館長の大家さんは、「古墳時代の大刀は、もろくなっているため扱いが難しく、国宝級の資料を集めて展示する機会は少ない。東京や大阪から来館される方も多く、評判がよいです。また、観音塚古墳の石室も開放していますので、普段味わえない雰囲気を体験できます。」と話した。今回は、常設展の倍ほど入場者があり、好評につき次回も開催を予定しているそうだ。