平成23年度施政方針/松浦市長
(2011年2月22日)
高崎市議会3月定例会で市長が施政方針
松浦市長は、高崎市議会三月定例会の初日の22日、平成23年度施政方針演説を行った。概要は次の通り。
私は昭和62年5月2日に市長に就任して以来、「美しい群馬にたくましい高崎」をつくるため、これまで24年間にわたり、公平で公正な市政を堅持するとともに、市民の皆様とともに高崎のまちづくりに邁進してまいりました。
この間、高崎市は着実な発展を続け、平成2年には市制施行90周年を、平成12年には市制施行100周年を迎えました。そして記憶に新しい平成22年、高崎市は市制施行110周年を迎え、まちづくりの新たな10年がスタートしたところでございます。
長い歴史を誇る高崎市にあって、6期24年間の在任中、三度のまちづくりの節目を市長として迎え、また本市の歴史に深く刻まれるであろう三度にわたる「平成の大合併」を成し遂げられましたことは、ひとえに議員の皆様をはじめ市民の皆様の多大なご支援、ご指導のたまものであり、私といたしましても大きな喜びとするところでございます。
そして、現在の高崎市は、将来都市像に「交流と創造~輝く高崎」を掲げる第五次総合計画のもと、一層豊かな市民生活の実現と高崎市全体の限りない発展を目指して、高崎が誇る「市民の力」と合併した各地域の特性を最大限に生かすまちづくりに取り組んでおります。中でも、これまで最重点事業として整備を進めてまいりました「総合保健センター」と「中央図書館」は、まもなく開館の運びとなり、また、高崎駅東口の整備も完成が近づくなど、「交流と創造」をテーマとするまちづくりは着実に進んでいるところでございます。
来る平成23年4月1日には、いよいよ「中核市・高崎」が誕生いたします。これにより、保健衛生や福祉、環境など特に市民生活に身近な分野におきまして、名実ともに群馬県のトップを走る都市にふさわしい、より充実した行政サービスを、私以下職員一丸となって提供してまいります。
さらに、本市を取り巻く環境は、今後も大きく変化していきます。本年3月19日には北関東自動車道が全線開通し、平成26年度には北陸新幹線の長野・金沢間も開業いたします。高速十字軸が完成することで、その中心に位置する本市の拠点性や存在感は一段と高まってまいります。
私たちのまち・高崎は、群馬の中心都市としてのみならず、今後は上信越・北陸地域の発展においても、大きな役割を担っていくことになるわけでございます。
市長としての任期は残り2カ月あまりとなりましたが、都市が選ばれる時代を迎え、高崎が新たな成長と発展の時代に入った今、私は高崎が次の時代に向かってたくましく進んでいくための道筋づくりに、最後まで全力で取り組んでまいります。
議員の皆様をはじめ、市民の皆様には、特段のご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
1当初予算の規模
平成23年度高崎市の一般会計予算は1562億9000万円、前年度比1・8%の減でございます。一般会計、特別会計、企業会計を合算した予算総額は、2469億2373万5千円で、前年度比0・7%の減でございます。
国の一般会計予算は、「成長と雇用」を最大のテーマとした基本理念の下に編成され、公共事業関係費は減額となったものの、社会保障関係費の増額や国債費の増額などにより、前年度比0・1%の増となっております。
また、地方公共団体の予算編成の指針となる地方財政計画は、地域主権改革に沿った財源の充実を図るとして、地方交付税総額を増額したことなどから前年度比0・5%の増となっております。
2予算編成の基本方針
本市の平成23年度の予算編成にあたりましては、中核市移行により、保健所の設置による地域保健衛生の推進など、市民ニーズに即したきめ細かく、質の高い行政サービスの提供に効率的に取り組むものといたしました。
また、中核市としての新たな行財政基盤を構築し、将来にわたって安定した健全財政を堅持していくために、すべての事業について見直しを行うとともに、市債の計画的な発行により借入額を減らし、次の世代への責任ある引き継ぎを行っていくものといたしました。
このように、平成23年度予算は、都市が選ばれる時代を迎え、依然として厳しい社会経済情勢が続く中で、新たな高崎の飛躍に向かってしっかり取り組む予算といたしました。
3一般会計予算の概要
はじめに、歳入の概要でございます。市税については、景気に持ち直しの動きが見られるものの、厳しい経済状況を反映し、市民税個人は、個人所得の伸び悩みから0・7%の減を、法人については、企業収益の改善などを考慮し17・3%の増を見込んだほか、固定資産税では償却資産の減などから3・0%の減といたしました。また、本年7月1日から課税が始まる事業所税は、5億2千万円余りを計上し、市税全体では、560億6504万5千円となりました。
地方交付税のうち普通交付税は、中核市移行による増額分等を見込み140億円を、また、特別交付税は18億円を計上いたしました。 繰入金は、財政調整基金から38億円を、減債基金から10億円を繰入れます。市債は、大型の建設事業が減少したことなどから発行額の縮減に努め、28・6%減の123億6450万円を計上いたしました。次に歳出の主要な事業等を第5次総合計画の政策分野に沿って説明いたします。
健康・福祉
高崎市総合保健センターの開設に伴い、「まめの木学級」の開催回数の増加や、「すくすく相談」の教室化等、乳幼児の健全な発達支援策を拡充するほか、がんセット検診を導入し、新たに「胃がんリスク検診」および「ピロリ検診」の項目を追加いたします。
予防接種では、疾病の重篤性の高い「子宮頸がん」、「ヒブ」、「小児用肺炎球菌」について、対象年齢層に接種の機会を提供するとともに、接種にかかる経費を助成してまいります。
また、発達障害児に対する支援を効果的に実施するため、「こども発達支援センター」を新たに開設し、統一的な発達障害児支援策を展開してまいります。
昨年度創設した子ども基金を活用して、地域の「子育て支援活動」を行う団体に対し、活動費の一部を補助するほか、放課後児童クラブ施設の整備や私立保育所の施設整備を推進いたします。
榛名地域福社会館(仮称)は、図書館との複合施設として建設工事を、吉井地域では、障害者施設の建設工事及び総合福祉センターの実施設計を行ってまいります。
教育・文化
教育では、近年増加している通級指導教室について、城山小学校の一室を改修し、増設いたします。学校の施設整備では、校舎等の耐震補強を順次進めるとともに、自校方式綸食の拡充を図つてまいります。また、塚沢小学校の校舎改築に向けた設計や、佐野中学校の校舎建設などを行うほか、老朽化したプールの改築に引き続き取り組んでまいります。
生涯学習センター(仮称)は、男女共同参画センター(仮称)等との複合施設として平成24年4月の開館に向けて建設を進め、史跡の保存整備では、日高遺跡、箕輪城跡等の保存整備を継続して実施するほか、下里見公民館(仮称)、及び群馬地域運動広場(仮称)の建設工事を進めてまいります。
高崎経済大学では、民間的手法を導入して個性豊かで魅力ある大学づくりを図るため、本年7月から公立大学法人化し、運営費交付金を交付いたします。また、市の文化行政の今後の方向性を示す「文化振興ビジョン」の策定に取り組んでまいります。
環境・安全
環境対策としては、地球温暖化対策の一助となる太陽光発電システム導入経費ヘの補助を継続して実施いたします。最終処分場(エコパーク榛名)は、第二期施設整備工事を行い埋立期間の延伸を図るほか、新町清掃センターを一般廃棄物のストックヤードとする整備を進めてまいります。
斎場につきましては、老朽化した現在の施設に代わる新たな施設の建設に向けて基本設計に取り組んでまいります。
防災対策としては、群馬県との共同開催による総合防災訓練を実施するほか、消防ポンプ自動車の更新を計画的に進めてまいります。公園整備では、観音山公園旧カッパピア跡地を中心とした環境資源の保全と活用整備を行ってまいります。
産業・観光
本年7月から新たに導入される事業所税に対する助成制度として「中小企業経営安定化助成金」を創設し、中小企業者に対して生じる新たな税負担を軽減し、経営基盤安定のために助成金を交付することといたしました。
また、既存の融資資金に加え、観光施設に係る設備資金を使途とする「観光振興資金」を創設するほか、中心市街地でのイベント開催に対する補助などにより、商業等活性化を総合的に支援してまいります。
観光については、本年7月から9月にかけて群馬県で開催されるデスティネーションキャンペーンの受け入れ企画や観光キャラバン等を実施するとともに、各地域の祭りなどの活性化イベントを継続して実施いたします。
農林業については、集落営農の推進や果樹・野菜等の産地育成と地産地消の促進、畜産振興の支援、有害鳥獣対策などに取り組むほか、農道・林道整備などを行ってまいります。また、制度資金では、天候不良等の緊急時にすみやかに対応できる資金として「農業経営安定緊急融資資金」を活用して支援を行ってまいります。
都市・建設
本市の拠点性と交通の利便性をさらに高めるため、スマートインターチェンジの整備や浜尻北交差点改良事業を促進し、区画整理事業や市街地再開発事業、街路事業等についても継続して事業を推進してまいります。
その他、中核市移行に伴い、高崎市景観計画に基づく景観重点地区整備計画の策定に向けて取り組むほか、上水道の管網整備、施設改良事業、下水・雨水の管渠整備などを引き続き実施いたします。
地域・自治
都市集客戦略ビジョンに掲げた都市集客機能を担うコンベンション施設と、新しい芸術・コンサートホールの整備に向け、基本構想の策定に取り組んでまいります。また、庁舎前広場への平和ゾーン(仮称)の設置や、男女共同参画社会創造の拠点|なる、男女共同参画センター(仮称)の建設を進めてまいります。
依然として本市を取り巻く状況は厳しさが続いておりますが、財政の安定を維持しつつ、市民サービスの向上を図っていくことは行政運営の基本であります。様々な行政課題に的確な対応を図りながら、簡素で効率的な行財政システムをめざして、事務の合理化などの改革や職員の適性配置に取り組み、財政の健全性を確保していく所存でございます。 特別会計については、事業の円滑な運営が行えるよう、それぞれ所要の経費を措置いたしました。
続きまして、一部事務組合についてご説明申し上げます。まず、高崎市等広域市町村圏振興整備組合でございますが、常備消防につきましては、消防救急無線のデジタル化に伴う共同整備にあたり、実施設計に向けた準備を進めます。
また、消防ポンプ自動車や救急自動車などの車両の更新や救急救命士の養成を引き続き実施いたします。高崎工業団地造成組合におきましては、需要を的確に捉えた事業推進をめざすとともに、団地販売促進に積極的に取り組んでまいります。
以上、市政運営についての所信の一端と予算の大要についてご説明申し上げました。