上奥平地区の産廃処分場/指導は県が継続
(2010年12月15日)
事前協議は県の行政指導手続き。高崎市に引き継がれないと説明
群馬県議会一般質問で角倉邦良議員が、吉井町上奥平地区で民間企業が計画している産業廃棄物最終処分場建設問題について、県の考えを求めた。
この計画は、長く凍結状態にあったが、吉井町が高崎市と合併する直前の21年5月末に、旧吉井町長が県に意見書を提出したことで再浮上した。
この計画は、旧規定によって進められているため、現行規定に定められている地域住民との協議が盛り込まれていないこと、来年4月に高崎市が中核市に移行することで産業廃棄物に関わる許認可権限が、県から高崎市に移管されることで、この計画がどのように取り扱われるようになるのかが、問題の焦点になっている。
角倉議員は「産廃の建設業者が県の指示にしたがって地元の説明会を行っているが、上奥平、寺尾、のぞみの園でも事前の説明会を拒否し反対意見が強い。県による手続きを凍結し、高崎市に論議を進めてもらうかたちにすべきだ」と、住民の根強い反対があることを指摘し、今後、県よりも許認可条件が厳しい高崎市条例に委ねられるのかただした。
県は「本件については昭和60年から当時の規定にもとづいて行われてきた。昨年5月に最終手続きとなる旧吉井町長から意見書が提出されている。しかし協議が長期間にわたり、現行の協議規定には、当時の規定にはない、地域住民等の意見を計画に反映させる仕組みが盛り込まれていることから、現行規定を準用し、説明会の開催や合意書の取得など手続きの一部を追加実施し、地域住民に対する説明責任を十分に果たすよう指導している」と経緯を説明した。
高崎市に判断を委ねることについて県は、「今後、中核市移行により産業廃棄物に関わる許認可権限は高崎市に移管されるが、事前協議は県の行政指導手続きであり、法的に高崎市に引き継がれることはない。本件については事業者に求めた追加実施に係る事項が適切に実施されるよう、県ができるだけの指導を行いたいと考えている。高崎市との関係についても移管が円滑に行えるよう、緊密な連携をはかりながら進めていきたいと考えている」と答弁し、引き続き県が指導していくことを示した。
角倉議員は「上奥平地域には、既に3つの産廃処分場、一般廃棄物処分場がある。住民は4つ目はいらないという声を上げている。住民の意見を県には重く受け止めていただきたい」と求めた。