雑紙リサイクルでごみ減量を
(2013年6月7日)
環境フェアでパネルディスカッション
6日に、もてなし広場などで開催された環境フェアの一環として、ごみ減量化について市民が話し合うパネルディスカッションが高崎市総合保健センター会議室で行われた。
パネリストは高崎市環境保健協議会会長・井上雅行さん、塚沢地区飯玉町第2区長の関根康雄さん、古紙リサイクル業者の斉藤彰さん、フレッセイホールディングスの星野浩克さん、高浜クリーンセンター所長の根岸恵一さん。コーディネーターは県立女子大教授の熊倉浩靖さん。
県民一人当たりのごみ排出量で、群馬県が全国ワースト2位となり、高崎市の一人当たりゴミ排出量も全国平均より多いことから、市民の力でごみ削減に取り組む第一歩にするのが今回のねらい。
家庭から出されるゴミの中で紙類が全体の3割以上を占めていることから、新聞や雑誌、段ボールなど、これまでもリサイクル資源として回収している紙類に加え、空き箱や包装紙などの「雑紙」をゴミとして捨てずに、資源回収するための課題について地域活動にも関連させて話し合った。
司会の熊倉さんは「完璧に分別できなくても、わかる範囲ではじめよう。環境先進都市高崎をこれから作っていこう」と呼びかけた。
発言の概要は以下の通り。
井上「雑紙の古紙回収は10年前から取り組んでいるがなかなか全市に伝わらない。資源ごみの日が月2回なので、雑紙をまとめて保管しておく場所が家の中になかったり、リサイクルできる紙か、できない紙か分別が難しい。どこに出していいのかわからない市民も多い。10年ほど前、雑紙を回収するための袋が高崎市から配布されたこともあった。」
関根「廃品回収を実施している子ども会や老人会も減っている。廃品回収をしないと古紙がごみとして出されてしまう。市から袋が配られたことがあったが、レシートや封筒など細かな紙を集めておくにはどうしたらいいか。生ごみは水分を切って出すようにすれば減量効果が上がると思う」
根岸「高浜クリーンセンターでは、ごみ処理費用として12億7千万円を予算措置している。ごみを回収する費用は、これに含まれていない。9億7千万円が燃えるごみの処理に使われており、ごみが減れば処理費用も節減できる。高崎市のごみ排出量は年間14万4千トンで、8割を燃えるごみが占めている。燃えるごみの組成分析では、紙・布が4割、少なくても紙が3割以上を占めている。この紙を資源化できれば処理費用、施設負荷も減らすことができる」
斉藤「段ボールや新聞、雑誌などの分別は日本独自で、海外に対する強みとなっている。回収率も日本が78%、中国は45%で、日本国内の回収は年々増えている。古紙はまちからとれる安定的な資源と考えてほしい。
一時期は古紙が集まりすぎて大暴落したが、現在はリサイクル技術、スピードともに改善され、海外に輸出している。雑紙の分別に迷っていると思うが、異物の混入を避けてもらうと品質が高まる。私たち業者は、回収した古紙を段ボール、新聞など9区分26銘柄に手作業で仕分け、品質を高めている」
星野「食品トレーやペットボトルなど、これまでスーパー店舗での資源回収を行ってきたが、古紙回収は町内で実施されているので、地域と協議し県内は5店舗で回収を始めた。1キロで1ポイントになり、一日に約50kgが回収されている」
熊倉「雑紙も回収できることを市民にわかってもらうことが必要だ。買い物難民が課題になっているが、同様にごみの排出に困っているごみ難民もいると思う。色々な場所で資源回収することも重要だ」
井上「高崎市全体で取り組みを始めないといけない。このままでは高崎市のごみ処理がやっていけなくなるだろう」
根岸「全国的には、ごみ袋の有料化について6割を越える自治体が実施している。ごみ袋一枚が40円から80円。県内の多くは有料化せず、ごみ袋が安く売られている」
斉藤「全国的に有料化が進み、有料化した市町村は古紙の回収量が増える。環境問題に関心の低い人たちもいるので業界としても声を上げていきたい。古紙回収については、群馬県が特に低いというわけではない」
星野「企業の排出量は全国レベルなので、市民が出すごみが課題。ごみ袋が1枚500円の町もあり、ごみの排出量が少ない町はごみを出せない仕組みになっている」
熊倉「集団回収に雑紙を入っていない町内も多い。生活スタイル全般を変えていく自発的な市民の取り組みが重要だ。ごみの分別や出し方や守らない人も1割ほどいるようだが、市民の8割、9割はがんばっている。環境先進都市高崎をこれから手を携えて作っていこう」