救急患者の「たらい回し」ゼロをめざす
(2013年3月1日)
救急医療体制改善で1億8千万円を予算化
高崎市は、救急患者の受け入れ医療機関が決まらずに、救急車の現場滞在時間が長引くケースが多発していることから、25年度に救急医療体制緊急改善対策として1億8千万円を予算化した。28日の高崎市議会一般質問で、堀口順議員の質問に答え、対策内容を説明した。
高崎市等広域消防局の平成23年度救急搬送データ1万3千件と、救急告示医療機関へのアンケートや聞き取り調査を分析した結果、搬送先の医療機関決定に手間取る「たらい回し」が大きな問題として浮かび上がった。
救急車の現場到着から傷病者を収容して受け入れ先の医療機関を決定し、現場を出発するまでの現場滞在時間は平均14・8分となっているが、問い合わせが5回以上になると滞在時間が31・7分となり、医療機関収容までに長い時間を要することになる。
受け入れできないと回答することが多い診療科目は整形外科、外科、脳神経外科で、医師不足が原因となっている。受け入れ不可の理由は、医師がいない、専門外、処置中などが多く、高崎総合医療センターでは、ベッドが空いていないことが頻発し、常態化した満床を解消する必要が指摘されている。
休日、夜間といった時間外に受け入れ不可の割合が高いことも整備課題となっている。
こうした状況を踏まえ、高崎市は
①外科、脳卒中、心疾患の救急医療に対応できる医師確保を支援する救急医確保等支援事業、②高崎総合医療センターで高度医療を必要とする期間を過ぎた患者を市内の医療機関に転院させ、満床の解消をはかる地域医療連携促進事業、③夜間・休日に救急患者を受け入れた実績に応じて補助金を救急告示医療機関に交付し、2次医療機関の受け入れ機能強化をはかる救急患者受け入れ促進事業、④群馬県が運用する救急医療情報システムへ患者受け入れ情報を医療機関が確実に入力するよう促進し、救急隊が利用する情報の信頼性を向上させ、搬送先決定に要する時間を短縮、消防局の病院案内の正確性を向上させる-について取り組む。
高崎市は、「県下に例を見ない緊急対策」と事業内容を説明している。
富岡市長は「119番をかけて救急車が到着してから病院へ搬送されるまでの時間は、平均33・2分、病院の問い合わせが5回以上になると61分になり、救急車で1時間を要するのは問題だと感じている。救急医療体制の改善をはかり、たらい回しゼロをめざし取り組んでいきたい」と考えを述べた。