下水道整備の将来見通し確定は困難
(2012年12月3日)
企業債償還負担などで進捗が鈍化
高崎市下水道局は、3日の高崎市議会一般質問で、逆瀬川義久議員の質問に答え、下水道整備の現状と見通しについて考えを示した。
高崎市の下水道普及率は、23年度末で70・9%、県内では高い水準にあるが、過去5年間での伸びは2%程度で、全国平均5・3%、県平均5・2%と比べ、合併以降の新市の伸び率が鈍化している。
下水道認可区域に指定されると、下水道管の敷設が延伸されていなくても、高崎市からの合併浄化槽設置補助金が受けられなくなり、認可区域内に住宅を新築する場合などは、全額を市民が自己負担して浄化槽を設置しなければならない状況になっている。認可区域に指定されてから長期間経過している地域もあり、早期整備が求められている。
高崎市では、現在、高崎地域周辺部を中心に整備を進めているが、市の予算や国の補助金、河川道路など地形的な要因で変更を余儀なくされており、「将来の整備見込み時期を確定することは困難であり、地域ごとの整備時期を市民に伝えることは大変難しい。問い合わせに対しては、わかる範囲で最新の情報を伝えている」と答えた。
過去5年間の管渠整備は、市全域では平成18年度70・2%から23年度72・1%で1・9ポイント増、高崎地域84・9%から87・3%で2・4%増、箕郷地域は整備区域外に人口が増加したため28・7%から28・2%で0・5%減、群馬地域23・8%から25・0%で1・2%増、榛名地域は18・0%から20・1%で2・1%増、吉井地域は21年度末53・5%から23年度54・0%で0・5%増。新町地域はほぼ100%。
高崎市の下水道普及率の伸びが鈍化している原因としては、過去、国が景気対策として下水道事業を推進した時期があり、高崎市を含む、全国の下水道事業を行っている市町村が高金利の多額の企業債残高を抱える結果となった。企業債償還のピークを迎え、合併により承継した多額の欠損金、企業債により経営の立て直しが求められる状況になっている。
財務体質の健全化のため、5%以上の高金利企業債の繰り上げ償還が認められ。93億円を低金利に借り換えたが、経営合理化、事業費削減を柱とする経営健全化計画が義務づけられ、平成26年度までは事業費の制限を受けている。またリーマンショック、東日本大震災の影響で、下水道整備の環境は厳しい状況になり、補助金の確保は要望額の80%程度に落ち込んでいる。
下水道局は、整備が遅れている原因を説明し、認可区域の整備を早期に進めるため努力したいと述べた。