あなたはどのメディアを選びますか?
(2010年4月)
上手な広告をするための「高崎メディア図鑑」多様化した地域の広告メディア
世界有数の大手広告代理店である電通がさる2月22日発表した「日本の広告費2009」(左図)から見る広告業界の動向では、2007年に7兆円規模であった総広告費は、 2008年に6兆7,000億円 、2009年はついに5兆円台に減少した。広告費が2008年からたった一年で7,700億円も減少している。
減少の内訳はテレビ・新聞・ラジオ・雑誌のマス4媒体だけで合計4,713億円が減少、プロモーションメディア(販促媒体)が残りの約3,000億円の減少となっている。
広告に使われるメディアには、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌のマスコミ4媒体のほか、新聞折込、屋外広告、交通広告、電話帳、展示・映像等のセールスプロモーション(SP広告)がこれまでは主流となってきた。
一方で、これまでの広告市場に含まれていなかった分野の広告メディアの存在も無視できない規模になっている。具体的にはフリーペーパー、ダイレクトメール、インターネットなどの広告市場が急成長している。しかし、これらのメディアは市場規模を集計する手法が確立されていないため、部分的にしか広告市場に算入されていない。
電通によると、これら新しいメディアの実態を推計すると、日本の実際の広告市場は8兆円規模になるとしている。インターネットが新聞を抜いたのではなく、新聞がネット以下に落ちたのが激変する広告市場の実態だといえる。
●インターネットの多様な展開とフリーペーパーの存在感
残念ながら地域レベルの広告市場の統計は現状では把握することはできないが、このような状況は高崎でも同様な傾向を見せているといえる。それを象徴するのが「パリッシュ」や「モテコ」などの数々のフリーペーパーの出現とその活況だ。「広報たかさき」の広告頁もフリーペーパーであるといえよう。
各家庭に毎日のように届けられる情報誌やチラシ・ポストカードなど、ダイレクトメールの増大や自社のインターネットサイトやモバイルはもちろん、インターネット上のさまざまな広告展開の進展は目覚しいものがあり、広告市場を多彩にすると同時に、スピード感と活力を吹き込んでいる。
さらに、最近の特長としては、インターネットと他メディアとの連携を図る動きが見られる。広告市場はインターネットを核にして、さまざまなメデイアと組み合わせるクロスメディア化が進展していくと予測される。
●広告市場の変化をビジネスチャンスへ
今後、広告市場は予想以上に媒体が多様化し、しかもスピーディーに変化していくと思われる。従来の新聞や新聞折込、テレビ・ラジオや雑誌の市場は縮小傾向だが、一方ではインターネットなど新たな市場が広がって、広告市場全体では拡大していくと予測されている。そしてその変化をビジネスチャンスにつなげていくには、クロスメディア的な視点が不可欠になる。
商売には、広告や販売促進活動は欠かせない。いかに効率良く効果を上げる広告手法を用いるか。様々なメディアの選択を広告を出す側にも求められている。 そこで、今回の特集では高崎地域のメディアを広告媒体という視点で、それぞれのメディアの特長を改めて紹介する。あなたの会社もお店も、高崎の広告メディアを良く知り、上手に活用して新たなビジネスチャンスをつくりだして下さい。
●高崎エリアの広告媒体
ラジオ・雑誌・フリーペーパー・チラシにインターネット。高崎エリアの広告をお考えの方へ向けて、そのきっかけとなる広告媒体。それぞれの特性を理解したうえで、会社や店舗のイメージアップや営業案内の告知などに活用してはいかがだろうか?
●新聞折込チラシ/高い広告効果が必要な方
◇群馬連合新聞折込株式会社(前橋市古市町1-50-24/TEL.027-253-7676)折込む新聞社、地域は問わず、県内の新聞折込みについては、全てこの会社が窓口となる。
購読者に毎朝確実に配達される新聞に折り込まれる折込み広告は、「部数」・「配布エリア」・「折込み日」を戦略的に選択できるのがポイントで、限られた経費を最大限に生かすことができる。 買い物時の持参や他店との比較など、消費者ニーズに合ったものなら保存性は高い。しかし、消費者の興味外なら、情報を覚えている期限は配られたその日から3日間というのが、業界の見方だ。
「当社の配布エリアは、群馬県内と埼玉・栃木の一部周辺地域で、予算に応じた配布エリアや部数の絞込みは、新聞配達エリアマップと部数表を照らし合わせながら、営業スタッフがご相談に応じています」と営業推進課長の鈴木さん。料金はB4サイズ1枚あたり3円50銭(地域により料金は異なる)。チラシの印刷はあくまでも折込主が行うので費用は別だが、無料で印刷所(県内限定)に取りに行ってくれる。
折込み初心者が知っておきたいのは、折込まれるチラシのサイズや、折の数によって、料金が上がるということ。二つ折りや三つ折のパンフレットなどを折込もうと考えると、割高になってしまうので要注意。
また、実際に折込まれるときの順番などは、新聞各販売店にお任せなので、要望を出せる範囲ではない。
ニュースをインターネットで見る人が増加し、新聞にも影響が及んでいるが、それでもエリアをピンポイントで絞り高い効果が期待できる。
●新聞本体
◇県下全域に発信したい方上毛新聞・Takatai(タカタイ)/上毛新聞社高崎支社(高崎市問屋町2-3-6 TEL.027‐362‐4341)
群馬県の地元紙として誰もが知っている上毛新聞は、販売部数約31万部で県内最大規模。報道を担う新聞は、その中立性や信頼性という面で確立されたブランド力があり、そこに掲載される広告にもそのプラス要素が反映されるというメリットがある。
一般的に新聞の広告掲載料は、他の媒体と比べると高めであるが、群馬県全域を網羅した31万部以上の販売部数は、県内全域での広告効果を考えると上毛新聞が効果的だ。
高崎支社次長兼広告部長の荒井健一さんは「広告を出すなら、媒体の特性やエリアを考慮し、目的に合った媒体を選択することが大切。特に高崎にエリアを絞るなら、県下全域に配布される新聞本紙よりは、コスト面からもタカタイをおすすめします」。ニュース性があればもちろん記事として掲載することも可能だ。
「一つの傾向として、新聞折込から新聞本紙への広告掲載にシフトするケースが出てきていますが、景気の後退により全体のパイはしぼんでいます。今後もお客様の立場に立った企画提案型営業を推進していきたい。まずはお気軽にご相談を」と話す。
●フリーペーパー
◇若者、中高年、女性などターゲットを絞りたい方月刊パリッシュ・おとな日和・&One/パリッシュ出版株式会社(高崎市新保町139-1/TEL.027-360-5551)
地域密着型のタウン情報誌として13年間、圧倒的な存在感を誇ってきた『月刊パリッシュ』。25~45歳の女性をターゲットに、約21万部を発行。高崎・前橋・伊勢崎地域の一般家庭や事業所にポスティングされる。
昨年より、さらに広い読者層の取り込みを図り、情報誌2冊を加えた。一冊はアクティブシニア(40~64歳)層がターゲットの『おとな日和』で、発行部数は3万部。高崎・前橋のターゲット16000軒にポスティングと、伊勢崎までいれた主な施設や店舗、金融機関等にラックを設置。
もう一冊は、ヤング世代に向けたクーポン誌『&one(アンド・ワン)』で、発行部数は8万部。高崎・前橋・伊勢崎周辺のコンビニ、書店、大型店舗、飲食店、ショップ、施設等にラックを設置、併せて学生が同世代に手配りを行う。
さらに飲食店は、基本料金3150円+出来高で「YAHOO!グルメ」と連動し、利用者の拡大や集客力アップが見込める設計になっている。
抜群の企画・編集力で「どんな企業や店舗ももれなく入る“箱”を作っています」と話す小野澤編集長。例えば、雑誌を配布していない街中では、新たな“箱”として飲食店情報を満載した「街中グルメマップ」を作成。ホテルやマンションに配布することでカバーする。
◇特に中高年に発信したい方ちいきしんぶん(ライフケア群栄株式会社/高崎市小八木町312-15/TEL.027-370-2262/グンブロ)
旧高崎市内と吉井町・玉村町の一部地域をエリアとして、毎月第一・第三金曜日に、自社のポスティングネットワーク(配布員330人)で無料配布する「ちいきしんぶん」。旧高崎市内の95%の家庭や事業所を網羅。今年で25周年を迎え、市内で最も長く定着しているフリーペーパーだ。
タブロイド版・4頁で構成されており、地域のイベント情報やお出かけ情報、子育て、教育情報などが掲載されて、地域密着色が濃い。「狭く深くというのが、『ちいきしんぶん』の特色。地域の皆さんに親しまれるよう、特集記事などにも工夫を重ね、特に人気のシリーズが、公共交通機関で行く〝ぶらり水紀行〟、〝里山をゆく〟です。公共の交通機関と足だけで往復し、温泉に入ってくる一日がかりの小旅行で、楽しみ応え十分です」と話す吉田勝紀さん。保存性を高める記事の工夫を欠かさず、アクティブシニア層の人気が高いという強みにつながっている。
同社では群馬の南部・西部の地域密着型ブログポータルサイト『グンブロ』(4月8日現在のブログ登録は1,446件)や、『ウェブ版ちいきしんぶん』も運営する。
◇クーポン券でお得感を出したい方月刊モテコ(モテコ出版株式会社/高崎市小八木町2037-2/TEL.027-384-3663/グルメサイトモテコ.net)
消費者には、身近な情報を「クーポン」というカタチで提供し、広告主には、「クーポン」という消費意欲を刺激する効果的な販促ツールを提供する。“読む”というより“使いこなす”というイメージの強い『モテコ』。トレンドやお得情報に敏感な若者や女性を中心にした誌面構成だが、フリーペーパーとしては男性の購読する割合が高く、幅広い性別、年齢層ともに広い支持を得ている。
群馬・埼玉・栃木の3県を中心に5誌を発行し、長野版も予定されている。群馬県央版は19万部発行。駅やショッピングセンター、コンビニなど通行量の多い場所に専用ラックを設置し、1カ月間の定期的な補充により配布率を維持。また、企業への配送も行っており発行部数の約1割を占める。
「競合他誌と比べても、広告効果は地域ナンバーワンと自負しています。広告料金は若干高めの設定ですが、ポスティングとは違いほしい人が持っていくので、クライアントさんには満足いただけると思います」と自信を見せる代表の田島雅夫さん。求人面ではヘアーサロン・美容・ネイル分野のアルバイト。また飲食面では、忘・新年会や歓迎会など宴会に特に強いというのが目立った特色。掲載するクライアントの新規獲得、リピーター獲得率も高く、約9割が連続掲載という。
パソコン&ケータイ版としてグルメサイト「モテコ.net」を連動させ、地元のグルメ情報をより手軽にお得に使いこなせる装置とする。モテコ本誌に広告を掲載すると、グルメサイトでの紹介は無料となる。
●ラジオ
◇全県域(株式会社エフエム群馬/前橋市若宮町1-4-8/TEL.027-234-8000)
今年開局25周年。ビデオリサーチ社が実施した県内ラジオ聴取率調査(前橋・高崎に住む12~69歳の男女500人に聞き、410人が回答)では、同社の聴取率は2.2%、シェア33.8%、また12~49歳では聴取率2.7%、シェア54.3%で全ラジオ局中首位を獲得した。
平日のワイド番組は、どの時間帯でも約25~40万人の聴取がある。
自動車王国群馬では、ラジオ聴取の63%はカーラジオから。繰り返し訴えることで〝知名度アップやイメージアップ〟を狙える広告媒体といえる。「大切なのは番組に力があること。番組イメージがスポンサーのブランドイメージを形成する流れを作っていくこと」と話す野口営業部長。CM製作にも力を入れており、ラジオACCゴールド賞など権威ある賞を受賞している。
時間帯や番組に合わせて、“ターゲットを絞った”広告を展開したり、新商品の発売やイベント開催の直前まで呼びかけたりするのも“ラストワード・メディア”といわれるラジオならではのCMの力だ。
CMの〈種類〉は、企業や商品のイメージアップなどを図る「レギュラー型」と、オープンやイベント開催、新商品の告知など短期的に展開する「キャンペーン型」がある。
CMの〈方法〉は、番組を一定期間提供する「番組提供」、番組の間にはさむ「スポットCM」、ワイド番組内でパーソナリティーがコマーシャル原稿を読み上げる「インフォマーシャルCM」がある。このインフォマーシャルCMは、制作費がかからず準備期間も短いことから人気で、現在このCMを対象に “2万円からラジオCM”キャンペーンを展開中。例えば、ニュース番組に20秒間、週一回・一ヶ月間の提供で66,000円~とリーズナブル。
さらに、「ワイド番組のパブリシティ」「スポットCM」と連動し、パソコン及び携帯サイト内にリスナー限定のお店・企業のクーポン画面を設けるなど、メディアミックス企画なども効果があるという。
広告主の要望・課題に応じ、ラジオだけでなくイベント連動企画やネットを融合した企画等、ラジオをベースとした企画も可能である。
◇高崎地域(ラジオ高崎/株式会社ラジオ高崎/高崎市八島町5/TEL.027-322-5555)
県内ナンバーワンの都市力を誇り、あらゆる分野で県内をリードする街、高崎の唯一のコミュニティFMステーションとして、「地域密着」「市民参加」「防災及び災害時の放送」をキーワードに、平成9年に開局。商業集積の最も高い高崎駅周辺地域の賑わいの中に拠点を置き、駅ビルのサテライトスタジオ「ココア」から情報発信を行っている。
放送のほとんどが独自制作。広域ラジオ局では不可能な天気予報、ニュース、イベント情報、市街地駐車場情報などきめ細かな放送で独自性を築き、高崎市民の生活に深く浸透している。
広告媒体としては、高崎エリアに限定して、リーズナブルにラジオCMを利用したいという人に適している。時間帯別のリスナー層を考慮し、放送時間を選択することで、より戦略的なラジオCMを展開できる。
番組にはさむ「スポットCM」、一定の時間帯に毎日1~2本以上長期放送する「タイムCM」とも、他の広域ラジオ局に比べ、約7分の1程度の料金設定。例えば、スポット20秒CMの特A区分(朝7~9時)は放送1回分3,600円(制作費別途)。番組提供は5分以内の番組で、20秒CMの特A区分1回分とコーナー前後に提供クレジットが入って6000円等。
放送部長の佐久間さんは「ラジオは何かをしながら聴くというのが一般的。降ってくる音&言葉を気に留める瞬間があり、習慣的に耳にすることで意識として定着していくといった特性があります。気づきやきっかけづくりという面でも最適で、他の広告媒体とのミックスに適しています」と話す。
◇高崎市
広報高崎・高崎市WEBページ
「広報高崎」(A4サイズ・平均24頁・4色刷り)は、発行部数15万部で、毎月1日・15日に高崎市の全世帯に配布されている。抜群の認知度と保存性の高い公共メディアを使った広告展開は、地域限定・圧倒的な部数・信頼性の高さといった面から、力強いプロモーションが期待できる。なにより広告面は1頁のみで、他の広告に埋もれることなく、強く印象に残る。
〈広告掲載料金〉1頁(210×297ミリ)掲載料42万円(税込・制作費別途)
高崎市ホームページのトップページ下段に、12枠限定のバナー広告がある。高崎市ホームページは、市からの行政情報をはじめ、各種申請や入札など「電子サービス」にも利用されている。「結婚」「妊娠・出産」「入学」「引っ越し」「介護」など、市民が暮らしの様々なシーンでアクセスすることが多く、月間約22万アクセス。また、市のトップページという信頼性を背景にしたアイキャッチは、即効性よりイメージアップやブランドアップに効果的だ。
〈広告掲載料金〉1枠×1ヶ月(寸法60×150ピクセル)。掲載料は18900円(税込)※年間契約の希望者を優先(平成22年度分の申し込みは終了しました)。※広告の問い合わせ・申し込みは委託業者の(株)ラジオ高崎へ。
事業を行う方にのみ発信したい方商工たかさき
「商工たかさき」は、発行部数約5,500部で、毎月15日に会員事業所向けに発行している。配布先が高崎市内を中心とした会員事業所と限定されているため、個人というよりは事業所をターゲットにした広告に適している。
(文責/菅田明則・新井重雄)
高崎商工会議所『商工たかさき』2010年4月号