カブトムシ商店街の誕生
(2010年8月4日)
ビートルズウィークのカブトムシ相撲
(振)高崎中部名店街 顧問 熊野卓司
中部名店街では7月10日(土)から18日(日)まで「ビートルズウィーク」と題したイベントを実施した。期間中は毎日かぶと虫やクワガタ虫を「さやもーる」の街路樹に放ち、子どもたちに自由に採集してもらうというもの。最終日には「全日本かぶと虫相撲大会」としていろいろなゲームを楽しんでもらい、参加者には来年かぶと虫の幼虫がもらえる引換券が配られた。また「かぶと虫博士」の名店街・後藤政尚理事により「虫トレーナー養成講座」も開かれ、かぶと虫の育て方などがわかりやすく紹介された。大人達向けのイベントとしてはかぶと虫と今年解散40周年になる「ビートルズ」にかけて「ビートルズコピーバンドライブ」も開催された。
さらに、18日は毎月恒例の「昼市」も開かれた。これは「地産地消」を実践しようと、高崎経済大学の吉田俊幸学長の呼びかけで始まったもので、同大学の久宗周二経済学部教授とそのゼミ生が運営に携わり、倉渕や榛名などの生産者が出店するというものだ。二つのイベントが同時に開催されたことでこの日はさやもーるや大手前通りは大変な人出。子どもたちの声が街中に広がり、往年の賑わいが感じられた。
この街では過去にかぶと虫の配布を行ったことがあったが、単なる配布よりも「街の中で昆虫採集」の方が楽しい、ということで後藤理事を中心に、幼虫を採取するところから担当メンバーが一丸となり進められた。中部名店街は県内では最も賑わいのあるエリアとはいえ、ご多分に漏れず地盤沈下の感は否めない。特に子どもたちを集客する決め手に欠いていたのだが、今回の試みは有望な集客手法を見いだせたといえる。
商店街のイベントにはいくつかの目的があるものだが今回は「情報発信」「集客」の2つを主たる目的として設定。期間も長めにとり、マスコミや子どもたちのクチコミで情報発信を狙った。結果は狙い通り、本紙はもとより上毛新聞、読売新聞をはじめインターネツトメディアも多数報道してくれた。特にテレビ朝日の番組では6分も取り上げられたため、遠く横浜から来た人もあった。また当日のNHKニュースにまで取り上げられ、広く報じられた。さらに、世界有数のメディア・ロイターテレビジョンまでが取材に来るというおまけまでついた。期間中の来街客も普段の数倍と「集客」という目的も達成されたといえる。
世上よくイベントの効果は「一過性」といわれるが、必ずしもそうではない。今回のようなイベントを毎年実施することにより「かぶと虫商店街」というイメージが定着すれば、街と客の距離はグンと近くなる。あとは個店の努力次第だ。このような人気イベントをひとつでも増やしていくことが、街の将来にとって大切なことと考えている。