若松監督と主演の大西さんあいさつ/映画「キャタピラ-」
(2010年8月12日)
大西信満さん、若松孝二監督
シネマテークたかさきで、14日からの一般公開に先駆け、映画「キャタピラ-」の先行上映会が12日に行われた。舞台あいさつに若松孝二監督と主演の大西信満さんが訪れた。
映画「キャタピラ-」は、太平洋戦争末期、戦地で四肢を失い、『軍神』となって帰還した軍人と妻を描いた話題作。戦争の悲惨さ、愚かさを銃後の農村を舞台に、生々しく訴えている。この作品で主演の寺島しのぶは第60ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞した。
四肢を失い、聞くことも話すこともできない傷痍軍人を演じた大西さんは「撮影では、手足のない役の難しさもあったが、それ以上に、現場全体の空気にビリビリと緊張感が張りつめていた。広島で先行上映された時に、国家が始めた戦争の責任を取るのは個人の肉体だと言われた。私達は、生きるか死ぬかということもなく、安穏と生きている。映画では戦争を家族愛のようにしてみたり、美化される中で、この映画ができた。やがて戦争経験者が一人もいない世の中になった時に意味を持つだろう」と話した。
若松監督は「火薬を使わない戦争映画で、いつか銃後を撮りたいと考えていた。連合赤軍を撮った時に、この子達の背景には親世代の戦争の過ちがあったのだろうと感じた。正義の戦争はない。戦争は人を殺す。相手も死ぬ、自分も死ぬ。ベトナム、イラク、何度も同じ過ちを繰り返している。1982年ベイルートに行ったとき、キャンプの大虐殺があった。女性と子どもの死体の山、腐臭を漂わせ、恨みの顔で亡くなっている。戦争で女性と子どもが犠牲になる。戦争のない平和な世界にしてほしい。人間としてのやさしさをみんなが持てば平和な世界になる」とこの映画の主題について熱く語った。
また、監督は「この映画は若い人に見てほしい」と高校生の鑑賞料金を500円にした。R15指定で、鑑賞は15歳以上から。
8月14日(土)から9月10日(金)まで。当日一般1300円。問い合わせはシネマテークたかさき℡325・1744。