団体利用増えているのに利用者数が減少/公民館の利用状況
(2010年7月12日)
高崎市公民館の平成21年度利用状況がこのほどまとめられた。
市内44公民館の21年度延べ利用者数は98万6508人で、昨年よりも4491人増加した。21年度は新たに吉井地域の2万6760人が加わっているので、吉井を除く43公民館の利用者数は、2万5千人ほど減少している。
高崎地域では、32館の合計が63万6298人で前年度よりも8737人減少した。群馬地域は6館の合計が11万1918人で1万6380人減少した。
21年度は、新型インフルエンザの影響で子ども関係の事業が中止されたことも利用者数に大きく影響している。高崎市公民館の特色である図書室の利用者は、全市で5万4895人で前年度よりも約1000人減少した。図書室活動には子ども向けの読み聞かせなども含まれており、新型インフルエンザの影響が出ている。
中央公民館は、10万5345人で前年度よりも4910人増加、榛名地域は2万2663人で1470人増加した。中央公民館利用者は減少傾向にあったが21年度は上向いた。合併により中央公民館利用団体が、群馬地区に移動する傾向も見られたが、再び中央公民館で活動の場を戻す団体も出ている。
中央公民館、地区公民館とも主催事業に力を入れ、全市合計で3612回、参加人数は12万4829人で回数、参加者とも増加している。
団体利用は5万9375回、延べ利用者数は78万6018人で、利用回数は増加しているが、参加人数が減少している。
利用者数が減少している原因としては、「公民館利用団体の目的が細分化し、1団体当たりの人数が少なくなっていること、市民の生涯学習意欲が高く、各公民館の稼働が慢性的に目一杯で限界に近く、1団体当たりの利用回数を制限せざるを得ない状況だ」と中央公民館では指摘している。習い事のサークルなどでは、大人数制からレベルに応じたグループに分かれ、別個に活動する傾向が強くなっている。利用団体数が総体で増え、公民館の部屋が確保できないために、活動の回数を減らしてもらったりしている。通常、部屋の利用は、午前・午後・夜間の三つの時間帯となっているが、利用勝手のよいホールの場合、午後を二つの時間帯に区切って使ってもらうなど、運用に苦労している館もある。公民館の利用団体が増え稼働も限界に近いことから、利用する市民サークルの需要に公民館の室数や設備などが追いついていないことも考えられそうだ。
倉渕地域は2万3884人で前年度よりも4294人減少した。高崎市は、誰でも歩いて公民館に行けることを基本に、一小学校区一公民館を推進しているが、倉渕は地域が広く高齢化が進んでおり、倉渕公民館まで高齢者が出かけにくいために利用者が減少しているのではないかといった心配もある。
各公民館の稼働がほぼ限界になっている状況については、建物を新設して解決する以外に方法はないが、市教委社会教育課では、「合併地域や老朽化した公民館の更新を計画的に進めていきたい」と考えている。校区1公民館については、高崎地域は完了しており、他地域についても公民館運営審議会の答申を受け、地域実態に応じて整備していく方針。
平成24年度に群馬地域に生涯学習センターが開館し、サークル利用もできるので、慢性的な満杯状態の緩和につながる。また、来春に高崎市図書館が新設移転し、現図書館は解体されるので、跡地利用と中央公民館の建て替えも注目される。中央公民館は、旧高崎女子高の校舎をそのまま使い、老朽化と使いにくさも指摘されて久しい。同館の建て替えについて市教委は、「具体的に発表できる段階ではない」としているが、市民の生涯学習意欲にこたえる中央公民館の機能強化は、こうした課題を解決する方策として期待されている。