競馬場跡地活用を県市で調査/集客施設も検討
(2010年7月6日)
高崎競馬場跡地。廃止後は場外馬券売場
場外馬券売場
競馬場内はそのまま。駐車場と公園
知事「先延ばししても良い方向はでない」
◆廃止後5年半。場外馬券場期限も今年度末
先の群馬県議会定例会一般質問で、石川貴夫議員が高崎競馬場跡地活用の方針についてただした。
高崎競馬は大正13年(1924)開設、群馬県と高崎市による群馬県競馬組合が主催、赤字のために平成16年(2004年)12月に廃止された。高崎競馬場跡地の面積は、約10・8ヘクタールで、群馬県が60%の約6・5ヘクタール、高崎市が4%の約0・3ヘクタール、民有地が36%の約3・8ヘクタールとなっている。
廃止後、跡地利用の検討を進める間は、群馬県が市有地と民有地を一括して借り上げ、敷地全体を場外馬券発売所として中央競馬の主催者であるJRA(日本中央競馬会)と地方競馬の馬券発売を行っているNRS(日本レーシングサービス)に賃貸した。JRAとNRSの2社への貸付けで生じる利益から必要経費を引いた金額が、配分比率によって高崎市への配分金になっている。
石川議員は「高崎競馬場が廃止されて5年半。場外馬券の期限も今年度末。10ヘクタール、公有財産評価額で65億円となっているが、活用の方針が立っていない」と述べ、昨夏に発足した高崎競馬場跡地利活用有識者検討委員会の審議状況と結果について答弁を求めた。
◆競馬場跡地に集客機能。実現可能性を調査
県企画部長は、「今年3月までに6回開催され、意見を取りまとめた。地権者や跡地周辺区長にも検討状況の説明を行い意見を伺った」と答え、検討委員会で審議された内容を示した。
検討委員会の意見では、「跡地に導入することが適当となる機能として、県内外から集客がはかれる機能が必要である」と指摘された。コンベンション、文化ホール、都市公園と文化複合施設、教育・学術施設などが候補に上げられている。利用目的決定までの暫定的な利用として、現状の場外馬券発売所を継続しながら、あわせて県民、市民の利用促進をはかるための取り組みが必要とされている。
今後の課題として、①県土づくり、市のまちづくりにおいて、跡地をどのように位置づけるか明確にすること。②県民、市民の意見を踏まえた検討が必要であること。③導入する機能の選定は、県、市の財政状況を考慮し、将来の負担にならないよう、実現可能性を十分に調査すること-などが指摘されている。
当面の対応として「将来の新たな利用に向けた条件整備を、できることから進めることが必要だ」とし、土地等の賃貸収入を財源とした民有地の取得、土地所有権が散逸することを防止するための具体的な対策の検討が求められている。
◆モザイク状の複雑な土地所有
石川議員は「跡地の保全手続きが必要だ」と指摘。企画部長は、跡地の土地所有の状況について「所有状況が、公有地と複数の地権者が所有する民有地がモザイク状になっている。土地の整理が大きな課題になっている」と問題点を示した。
時間の経過とともに、土地の所有状況が更に複雑化することが懸念されている。民有地について、可能なところから取得していくとともに、土地所有権の散逸防止策について検討する必要があると考えている。企画部長は「散逸防止策として、有識者検討委員会から提案された、地権者全員が土地を現物出資することで組合を作り、土地を一体的に管理していく方策など、様々な方策について、今年度、高崎市といっしょに研究会を設置し、しっかりと検討したいと考えている」と答えた。
◆高崎市と協議し調査を絞り込む。方針決定の時期は調査の結果次第
また、企画部長は「跡地への導入が適当と考えられる機能として意見があったコンベンション、文化ホールなどの中から、高崎市と協議し、調査対象を絞り込む。実現可能性について、市場のニーズ、概算事業費、管理運営費、波及効果などを調査する予定。調査結果は検討委員会を開催し、評価してもらう」と今後の予定を示した。
今年度は、検討を絞り込む考えで、今年度に結果が出るか否かは、実現可能性の調査次第となっている。
地権者や地元区長に対する報告や利活用に関する意見交換を行うとともに、秋には跡地でイベントを開催し、県民、市民に跡地の周知をはかっていく。
◆知事「先延ばししても良い結果が出るとは思わない」
石川議員は「最大の土地所有者は県であり、責任を持って判断すべきだ」と知事の考えを求めた。
大沢知事は「高崎市にとっても群馬県にとっても、重要な土地であるという認識は持っている。跡地の利活用の決定にあたっては、できれば一体的な活用をめざし、群馬県、高崎市相互に役に立つ活用が検討できれば一番いいと思っている。そのためには、何といっても土地の整理の問題がある。検討委員会の検討結果、調査結果が出た中で、高崎市と慎重に考えて、いかなければいけない」と考えを示した。
方針決定の時期については「土地の問題をしっかりと整理する。ただ先延ばしするのではなくて、群馬県にとっても、北関東自動車道が開通して、すばらしい優位性がある所だ。、土地の有効活用は群馬県として期待しているので、できるだけ早く方向性を出したいという思いでいる」と述べた。
さらに知事は「いたずらに先延ばししても良い方向が出るとは思っていない。地権者の問題が一番大事なことだと思っている。土地の整理問題にできるだけ力を入れ、県民が期待できるようなものを検討したいと考えている」と答えた。