参院選群馬選挙区/立候補予定者が公開討論会
(2010年6月21日)
○×で政策について候補に質問
参議院選挙群馬選挙区立候補予定者による公開討論会が、高崎青年会議所の主催で19日に高崎市文化会館で行われた。
富岡由起夫氏(民主)、中曽根弘文氏(自民)、店橋世津子氏(共産)=登壇順が政治理念や少子化、年金問題、消費税引き上げ、財政改革についてビジョンを語った。また原子力発電所や憲法9条など18項目について、○×式で候補者が答えるなど、政策のポイントがまとめられた。
政治理念と自己紹介は次の通り。編集部まとめ。
富岡氏=
両親は群馬県出身です。早稲田大学を卒業後、銀行に16年勤務していました。その間、バブルの絶頂、バブルの引き締めを経験しました。印象に残っているのが、バブルの引き締めとおかしいと思ったことがあります。不動産関連融資を担当していたのですが、ある日突然、融資をしてはならない、逆に回収してこいと指示がありました。これは支店長の命令ですが、支店長は本店の命令、本店は大蔵省の命令ということでした。バブルに引き締め方も政治の責任によって、おかしな締め方してしまった。そのことがバブルの後遺症を深くしたと私は思っています。
政治の在り方に対し、少しおかしいのではないかと疑問を抱くようになりました。民主党の公募に応募し、幸い合格し2003年の衆議院選に4区で挑戦させていただきました。2004年の参議院選挙に再度挑戦させていただき、今日にいたります。
私が政治家を志した理由の根底にあるのは、小さい頃、テレビの番組でアフリカの子ども達、女性が貧困や飢餓、紛争に巻き込まれて大変な思いをされているというドキュメンタリー番組を見て、これはなんとかしなくてはいけないという思いが刻み込まれたことです。政治の力で弱い立場の人たちを救うことはできないだろうか。参議院ではODA、政府開発援助特別委員会に所属し、アフリカへの援助の在り方について中心になって議論して参りました。
日本は世界第2位に経済大国で、世界の中で日本ができることは何なのか、日本がやらなければならないことは何なのか、常に考えながら日本の政治を運営していく必要があると思います。
国内も非常に厳しい問題があり重要です。世界第二位の立場、国際貢献の役割があると思います。国際貢献というと、すぐに軍事的な貢献が議論されますが、非軍事的な貢献も十分に評価にあたいするものです。日本は世界で唯一の被爆国です。世界平和、核軍縮、核廃絶に向けたリーダーシップをとるべき立場にあると思っています。
中曽根氏=
群馬と東京を行き来していますが、新幹線で群馬に戻る時に、本庄の辺りにきますと上毛三山、浅間山がよく見えてきます。四季の変化があり、すばらしい自然に恵まれています。群馬に戻ってくると、ほっとした気持ちがします。同時に群馬をさらに活力ある県にしたいという気持ちが高まってきます。
今回、5回目の立候補をいたします。過去4回、みなさまのお世話になり参議院議員として仕事させていただきました。小渕内閣で文部大臣、科学技術庁長官、森内閣教育問題担当の総理大臣補佐官をつとめ、昨年、一昨年は外務大臣として外交の責任者として、日本の国際的地位向上のために微力を尽くしてきました。
6年前の選挙で私は、スローガンとして「心豊かな人づくり、活力あふれる国づくり」を掲げました。当時、教育的な荒廃もあり、なんとか青少年の健全育成をやらなければという気持ちになりました。選挙では、教育は票にならないと言われていますが、私は、教育改革の必要性を訴え、その中でも教育基本法の改正をめざすことを私の選挙公約に掲げました。教育基本法は、戦後、約60年間、一度も改正することができず、時代に合わなくなってきました。文部大臣として、この改正のスタートを手がけ、総理大臣補佐官として議論をリードしてきました。最後は参議院の教育基本法改正についての特別委員会委員長に自ら就き、県民の皆さんにお約束した教育基本法の改正を実現しました。
日本は今、新しい時代に向かっての転換期にあると思います。何よりもまず景気回復が大事ですけれども、国際社会の平和と安定のために貢献をする、国際社会から信頼を取り戻すことが大変大事ではないかと思っています。
子ども手当やお金のことばかりが選挙の時には話題になりますけれど、私は今こそ精神的なことをもっと重視して、日本の歴史、伝統、文化を基盤とし、自国に対し誇りをもって、他国を尊敬し、自立したたくましい、真の日本人を育成する必要があろうかと思います。選挙のためのパフォーマンス政治が続きますと、この国は滅びていってしまうと思います。私は国民の不安を解消し、若者が夢を持てる、希望を持てる、お年寄りが安心して暮らせる政治をやっていきたいと思っています。
店橋氏=
私は保育士として社会に出ました。ずっと子ども達が幸せに生きることを実現したいと考えてきました。今、子ども達の状況を考えると、様々な社会の問題が子ども達の中に現れてきていると思うのです。この間、全県に皆さんのもとにお話をうかがいに行って参りましたけれど、多くの皆さんが今の政治に大きな不満と不安を抱えていました。経済対策の面でも景気を早く良くしてもらいたい、暮らしを、医療も介護も安心なものにしてもらいたい、そういう皆さんの思いを私は実現したいと思っています。
共産党は5つの経済政策を皆さんにお示ししています。なんで日本が、こんなにも成長が止まった、国民が貧しい国になってしまったのか。小泉構造改革の十年、強い大企業を応援すれば、いずれ国民の暮らしが良くなって、経済全体が発展成長すると言われてきました。でもどうであったかと言えば、確かに大企業はこの十年で229兆円の内部留保を蓄えてきています。国民の所得はと言えば、1割も落ち込んでいます。大企業ばかり儲かって、国民の暮らしが痛めつけられている。ここを大きく転換することが必要だと思っています。
国民の暮らしに、大企業が儲けてきたお金をもっと還元する仕組みが必要です。そのため共産党は5つの経済提言を行っています。一つは雇用の問題です。何と言っても働く方々が安心して正社員として働ける。賃金でも、先進国は最低賃金が1300円、1500円という時代になっているのに、日本は1000円にも満たない。ここを大きく改めて、国民のふところをしっかりと暖める。中小企業も同じです。大企業ばかりが儲かる仕組みの中で、中小企業は買い叩かれてきました。ここをしっかりと応援するためのルールづくりを二つ目に考えています。農林業もそうです。日本の大企業の輸出を支えるために、農家の皆さんは大変厳しい中で暮らしてきました。アメリカからどんどん輸入をしている中では、いくら個別所得保証をしても、外国からの輸入の規制をしなければ再生産を実現できない。再生産できる農業、後継者が育つ農業にしていくのが三つです。
社会保障の充実で国民が安心して暮らせるよう、財政の再分配、所得の再分配が大事だと思います。大企業が儲け、株の売り買いには今まで2割の税金がかけられていたのに、今は1割しかかけられていません。外国は3割、4割が株の取引に税金がかかっています。大企業、大金持ちへの行き過ぎた減税を改めて、能力に応じた税負担を求めていきたいと思っています。そして無駄を削減しながら健全な財政、国民の暮らしを豊かにして、財政再建していきたいと思っています。