「高崎の協力無ければできなかった」/映画『時をかける少女』
(2010年5月22日)
谷口監督の舞台あいさつ
上野カメラマン
映画「時をかける少女」の谷口正晃監督と撮影カメラマンの上野彰吾さんが、シネマテークたかさき上映初日の22日に同館を訪れ、舞台挨拶を行った。
筒井康隆原作の「時をかける少女」は、女子中学生・芳山和子と謎の同級生ケン・ソゴルが主人公の学園SF小説。設定を変えながら、約半世紀にわたってテレビや映画で映像化されてきた。大林宣彦監督、原田知世主演の昭和58年作品が有名で、当時高校生だった谷口監督も、この作品を観て感動し、映画に憧れたと言う。
本作品は、谷口監督の劇場用長編初監督となる意欲作。物語の主人公あかり(仲里依紗)は、旧作のヒロイン・芳山和子(安田成美)の娘で、母の思いを果たすために1970年代にタイムトリップする。
この映画では、群馬音楽センターを始め、高崎市内で重要なシーンが撮影されている。谷口監督は、シネマテークに来場したファンに「高崎のまちと住んでいる人たちの協力がなければ撮れなかった。自分たちのまちの映画としてかわいがってほしい」とあいさつ。上野さんと共に、作品への思いや、高崎ロケのエピソードを語った。
作品について谷口監督は「大林作品を始め、『時をかける少女』ファンの思いを傷付けるようなことはできない。プレッシャーもあったが、ぜひやりたいと思った。仲さんの演技は瞬発力があり、魅力的だ。今までの『時をかける少女』を知っている人にも、知らない人にも愛されれば成功」と自信を持っている。
カメラマンの上野さんは、13年前に中之条で撮影された「月とキャベツ」が縁で、谷口監督が助監督時代からのつきあい。上野さんは「いつもの仲間達と一緒に映画ができてうれしかった。仲さんは生き生きとした感情であかりを演じ、撮影は動物を狙うような感覚だった」とみずみずしい映像をカメラで捉えた。
群馬音楽センターでの夜間ロケは昨年の4月。200人の市民エキストラが協力した。監督は「本作で一番大がかりなシーンで、日没から夜明け前までかかった。夜は寒くて、みんなで豚汁を食べながら撮影した」と思い出を語った。「映画関係者の間では、高崎は協力的で、昭和の日常風景も撮れる」と評価されているそうだ。高崎フィルムコミッションが成功を祈って贈った大きなだるまに目を入れたことなど、高崎への感謝を語っていた。