「また次も取ります」茂木さんの墓前に是枝監督/高崎映画祭
(2010年3月28日)
受賞者に恒例の高崎だるま
第24回高崎映画祭オープニングセレモニーが28日に高崎市文化会館で行われた。
高崎映画祭運営委員会の大宮登委員長(高経大副学長)は、「高崎映画祭は市民がボランティアで支える映画祭として成長してきた。高崎映画祭は企業、行政、市民が厚い信頼で結ばれている。24回を重ねて新たな一歩を踏み出したい。心が通う映画祭を続けていきたい」とあいさつした。松浦市長は「高崎映画祭の一番の特徴は、映画を愛する多くのボランティアに支えられていること。一本一本の映画が皆さんに大きな感銘を与えてくれる。見逃すことがないよう多くの作品をご覧いただきたい。また受賞者のゲストの方が高崎に揃い、感謝申し上げたい」と開催を祝った。
授賞式では、最優秀主演男優賞の松山ケンイチが欠席のため、横浜聡子監督が出席。また「のんちゃんのり弁」の緒方明監督が祝福に訪れるなどのうれしいハプニングもあった。
受賞者からの喜びのメッセージ。
安藤サクラ(最優秀新人賞)=すばらしい言葉をいただいてうれしく思っています。園監督、高崎映画祭様、本当にありがとうございます。高崎のおいしいものをたくさん持って帰って、たくさんいいエネルギーをいただいて帰って、明日から元気に頑張ります。
森山未来(最優秀助演男優賞)=今日は、あたたかな皆さんに囲まれて、賞をいただいてうれしく思います。
オダギリジョー(最優秀助演男優賞)=人生で始めて主演男優賞をもらったのが高崎で、思い出のある映画祭です。毎回、ハムをいただいて高崎ハムのおかげで生きています。日本に色々な映画祭がある中で、作品選びやセンスの面で高崎はぼくに合う。高崎が選ぶ作品は見てみたいという気がする唯一の映画祭です。その映画祭に、芝居の面で賞がいただけて、唯一のうれしい賞です。また芝居にがんばってハムをいただきたいと思います。
星野真里(最優秀助演女優賞)=まさか自分がこのような賞をいただけるとは思っていなかったので、うっかりミスだと言われるのではないかとドキドキしていました。監督、キャスト、スタッフとこの作品を作れたことを誇りに思っています。
松山ケンイチ(最優秀主演男優賞)代理・横浜聡子監督=松山さんからお手紙をいただいていますので代読します。「最優秀主演男優賞をいただいたのに授賞式に参加できず大変残念です。高崎という名を聞くと思い出すのがリンダ・リンダ・リンダ、神童でロケをしたことです。すばらしい出会いとかけがえのない経験ができた作品です。思い出深い場でこのたびの受賞をうれしく思っています。ウルトラミラクルラブストーリーは青森県で撮られた作品で、この作品にしかない明るさ、寂しさなど様々な魅力が詰まった作品です。陽人のように自分も変わりたいと願っていました。でき上がったこの作品を見て、この世界を作り出し、キャラクターを作り出した横浜監督の力に腰を抜かしました。この作品をこのように評価していただいたことに感謝しています」。この映画で松山さんに出ていただいたのも奇跡ですし、松山さんの力を借りてこの映画ができました。
ARATA(最優秀主演男優賞)=感慨深い一日です。「空気人形」は、ぼくにとって10年目の節目に、是枝監督の映画作りに参加させてもらった作品です。思い出深い作品でこのような賞をいただいてうれしく思っています。去年もこの高崎映画祭に呼んでいただき、その時、空から映画界を見守ってくれている方へ、ぼくは前進しますとメッセージをおくらせてもらいました。言ってみたものの前進してるかわかりませんでした。でも、こんなすばらしい賞をいただけたことは自分の勇気にもなりますし、励みにもなりました。誰にでも始まりはあると思います。地道に自分のやるべきことを信じていたら、いつか大きな木になって、花が咲いて、すばらしい実がなったりすることもあるのです。これからもがんばっていきます。
小西真奈美(最優秀主演女優賞)=この作品で賞をいただけたことで、自分をもっと信じてやれるようになり、すごく励みになってうれしかったです。もっとうれしかったことは、一緒にこの映画に携わった方もすごくこの受賞を喜んで下さり、ちょっとだけでも恩返しができたという気がしました。映画賞をいただけるって、自分だけでなく、みんながほめられている、ご褒美をもらっているような気がして、私は今、代表としてここにいさせてもらえることで幸せな気持ちで一杯です。また来年もここに呼んでいただけるようにがんばりたいと思います。
緒方明監督=だるまももらえるんですよね。10年前にここで新人賞をいただきました。だるまをいただいたのですが、目を入れるのがもったいないんです。今日、ここにいるみなさんも苦労して映画を作っていると思います。そんなに制作費もありません。シネマテークは映画を支えています。どうかみなさんも映画を観てください。
ペ・ドゥナ(最優秀主演女優賞)=私は何もやっていなくて、監督が「空気人形」の世界観を表現し、私の演技がうまいように見せてくれました。監督が、このすばらしい作品に私をキャスティングしてくださったことは幸運でした。空気人形として生きている間はとても幸せでした。私がリンダ・リンダ・リンダに出演していた時、前橋で撮影してのですが、一日だけオフをもらったことがあり、ずっと田舎にいるのがつまらなかったので、ちょっと勇気を出して高崎に遊びに来ました。色々買い物をして楽しかった思い出があります。
園子温(最優秀監督賞)=ありがとうございました。映画祭のみなさん、観客のみなさん、ありがとうございました。ありがとうございました。
是枝裕和(最優秀作品賞)=作品賞ももちろんうれしいのですが、4人のキャストとともにここに来られたことがとても光栄です。賞に選ばれておいて、選んだ人をほめるわけではないのですが、観念的、抽象的で難しい役柄なのです。難しい役だと思いながらお願いをして、見事に昇華してくれました。この方達を評価してくれて本当にうれしく思います。この映画で全部出し切りました。この映画が完成した時、これで最後でもいいかなと思った瞬間がありました。出来上がって、一年近くたって、こうして高崎に来ました。この会場に来る前に、茂木さんのお墓参りをして、また次も賞を取りますと挨拶してきたので、また、次ぎの作品を持って、ここに来たいと思います。次のチャレンジをかたちにしてみます。