昨年よりも改善の兆しも・不動産業に厳しさ/たかしん調査
(2010年3月9日)
高崎信用金庫は、顧客357社を対象に、平成22年の経営見通しについて調査を行った。平成20年のリーマンショック以降、景気が大きく後退した。国や地方の緊急経済対策で景気はゆるやかに持ち直してきたとも言われるが、先行きの不透明感はぬぐえず二番底も懸念された。
平成22年の日本の景気は、「良い」と考える企業は2%で、前年の0・9%よりも上昇した。「悪い」は、93・2%で前年よりも2・5%少なくなったが、悲観的な見方は依然として強い。「良い」から「悪い」を差し引いた数値はマイナス91・2%で、前年よりも3・6%改善した。不動産業では、全社が「悪い」と回答し、業界の厳しさを示した。
自社の業況は、「良い」と回答した企業が4・8%で、前年よりも0・4%低下した。「悪い」と回答した企業は78・8%で、前年よりも1・6%少なくなったが、約8割の企業は業績が悪いと見ていることが示された。「良い」から「悪い」を差し引いた数値はマイナス74・0%となり、前年よりも1・2%改善した。
売上の伸びでは、「増加」の回答が18・7%で、前年よりも4・8%上昇した。「変わらない」の回答が27・9%で前年よりも6・3%上昇、「減少」の回答は53・2%で、前年よりも11・3%上向き、業況が回復している様子がうかがえた。しかし半数を超える企業が売上減少と見ており、厳しい経営環境にあることが示された。
自社の業況が上向く転換点については「改善の見通しは立たない」が22・8%で最も多かった。2年後が21・1%、1年後が17・7%だった。3年越の回答も含め1年以上と改善の見通しが立たない企業は83・6%だった。8割以上の企業が業況回復に長い時間がかかると見ている。「既に上向いている」の回答が前年なみの4・5%あった。
国の経済関連政策で、期待や評価をしているものは、「中小企業法人税の減税」が54・1%で最も多く、次いで「保証制度拡充などの資金繰り策」が36・9%となった。また約4分の1の企業が「現政府には期待していない」と回答した。「子ども手当などの家計対策」は18・6%、「高速道路無料化などの地域活性化策」は13・8%だった。多くの企業が税制面、資金面での支援策に期待していることが示された。