サケの稚魚を放流/ぼくらのサケを育てる会
(2010年3月7日)
「元気でね」放した稚魚と別れを惜しむ子どもたち
サケの稚魚を育てて烏川に放流するイベントが6日に和田橋下で行われた。主催は「ぼくらのサケを育てる会」。高崎青年会議所のメンバーが中心になって取り組んでいる。
12月にサケの卵約6万粒を希望者に配布し、3カ月間育ててもらった。小学校、幼稚園、保育園や職場での飼育も行われている。放流には育てたサケをバケツや水槽に入れた親子2000人が集まった。
この事業は生命や自然を大切にし、サケが再び遡上してくるような烏川の清流を取り戻すのがねらい。放流を通じて環境への意識を高めてもらう。利根川流域各地でこうした取り組みが行われており、昨年は埼玉県行田市の利根大堰で、過去最高の5600匹の遡上を確認。高崎市内の烏川でも、サケの姿が確認され、着実な成果が現れている。
式典で清水篤司会長は「今年で23回になり、子どもの頃にサケを育てて楽しかったので子どもと一緒に来ましたという保護者の声も聞いている。サケが戻るのに3年かかる。今年はサケの生涯カレンダーを作成し、市内の小学生に配りたい。私達が自然の中で生きていることをかみしめてほしい」とあいさつした。
国土交通省高崎河川国道事務所の真田晃宏所長は「昭和40年代までサケがたくさん見られたが、川が汚れて見られなくなってしまった。烏川の水質も良くなり八千代橋でもサケの遡上が確認されている。サケが元気に戻ってきてくれるように河川整備に努めたい。みなさんも川と水を大切にしてほしい」。高崎市の中島雅利教育長は「私が子どもの頃は烏川で泳ぎ、川の中に立っていると足元に魚の感触があった。昔のような、きれいな烏川に戻ってくれるとうれしい。高崎市は環境教育にしっかり取り組みたい。サケを育てながら命の大切さを親子で勉強してくれたと思う」と話した。
子ども達は「元気で戻ってきてね」と手をふりながら放流。記念にビデオや写真におさめる親子も多かった。参加した親子は「一生懸命えさをやって大きくなったので、また戻ってきてほしい」と話していた。
主催者が用意したサケの稚魚の放流や、参加者全員による河川敷のゴミ拾いも行われた。先着の希望者は烏川でのボート遊びのアトラクションを体験した。
同会が製作したサケのカレンダーは、昨年12月から2012年10月の3年分で、子ども達が育てた稚魚が利根川を下って太平洋に出て、オホーツク海などで育ち再び烏川に戻って来るまでを表している。サケのイラストや説明文も、同会の会員によるオリジナル。2万5000部を印刷し、市内の全小学生に配布する。