市民主体・高崎ならではのまちづくりを/自治基本条例でシンポジウム
(2010年2月10日)
高崎市自治基本条例を考えるシンポジウム
高崎市は、平成23年4月の中核市移行にあわせ「高崎市自治基本条例」の制定をめざしている。市民と行政の協働で条例を策定しようと昨夏以来、準備作業が進められている。これまでの経過報告を兼ね、市民の力で条例策定を成功させようと、高崎市自治基本条例を考えるシンポジウムが6日にシティギャラリーで行われた。
自治基本条例は、高崎市ならではのまちづくりを実現するため、新たな地方自治の在り方や市民参加の理念などが盛り込まれる。現在、市民21人による委員会と職員プロジェクトチームにより、「高崎市自治基本条例を考える会」が組織され、検討を進めている。同会では、高崎市には多彩な文化があり、市民活動が活発に行われている一方、交通基盤の未整備、知名度不足、商店街の活気、合併地域の連携などを課題として指摘している。基礎研究の上に、高崎らしい自治基本条例を策定していく考えだ。
昨年6月に実施したアンケートでは、9割が自治基本条例を知らない、内容がわからないと回答しており、市民委員会の池田貴明委員長は「より多くの市民参加が不可欠。自治基本条例がわからないという人たちに理解してもらうことが大切だ」と今後の取り組みの重要さを訴えた。
基調講演で明治大学の牛山久仁彦教授は「地方自治は大きな変化を迎えている。自治体の質が問われる時代になった。質の良い自治体とは何か、自治基本条例の策定作業は住民自治の質を問う試みだ。住民の合意形成はとても難しいが、高崎らしい自治基本条例を策定してほしい」と話した。
シンポジウムは、パネリストに考える会の池田委員長と職員メンバーの田村克弘さん、高崎青年会議所の酒井裕次副理事長、高崎おかみさん会の深澤るみ会長が登壇。コーディネーターをNPOぐんまの熊倉浩靖さん、コメンテーターを牛山教授、高経大の佐藤徹准教授がつとめた。
田村さんは「今まで市の方向は国や県の意向で決められてきたが、行政の在り方が変わってきている。高崎市が進む方向を市民に伝達することが重要。今の仕組みでは全ての市民の意向に沿った行政運営は難しい」と自治基本条例制定の意義を行政側から述べた。池田委員長は「高崎市のまちづくりの指針として、行政担当者が変わっても継続できる一貫性を持たせたい」と同条例が持つ最高規範性について考えを示した。これから行われる市民討論会では、高崎のまちづくりのために青年会議所やおかみさん会も協力したいと話した。
池田准教授は「専門家に頼めば条文案は半日もあればできる。プロセスに時間をかけ、高崎の未来の姿を市民の視点に立って描いてほしい」と期待した。牛山教授は「議会の役割も大きく、市議会との意見交換も大事だ」と助言した。コーディネーターの熊倉さんは「高崎の魅力、市民が作ってきた文化を盛り込み、みんなで自治基本条例を作っていこう」とまとめた。
松浦市長は「自治基本条例は自治体の憲法と呼ばれ、全市民が共有できる市民自治の仕組みが重要。高崎らしい市民力、地域力を生かした条例づくりを進めている」とあいさつした。シンポジウムのアトラクションに参加した育英短期大と高経大の学生達は「高崎が大好きなので参加した。若者が活躍できる高崎を実現したい」と話していた。