縄文時代の地域交流も考察/「東国千年の都?赤城・榛名の縄文絵巻」展
(2010年2月2日)
前橋・高崎の縄文遺跡を紹介
前橋高崎連携事業「東国千年の都-赤城・榛名の縄文絵巻」展がシティギャラリーで開催されている。
この展覧会は、前橋、高崎の豊かな歴史や文化資産を有効活用し、両市の交流をはかることを目的に平成十九年度から行われている。今年度は、人々がムラをつくって定住を始めた縄文時代を取り上げた。立体的な模様を持つ大型の土器や漆工芸の技術を用いて彩色された土器などを中心に展覧している。
縄文土器の移り変わりをテーマにしたコーナーでは、一万年前の草創期からの変化を時代を追って展示している。形や模様など、それぞれの時代の特徴を浮き彫りにしている。
また、新潟や長野からもたらされたヒスイの玉、黒曜石の石器から、縄文時代の地域交流についても考察している。「縄文」の名が示すように、縄目模様が大きな特徴で、会場では模様づくりの体験コーナーも設けられている。土偶や石棒などの呪術具の展示も興味深く、縄文人の精神性を見せている。
二市の代表的な縄文遺跡を紹介するコーナーでは、大きな火炎土器が展示され見応えがある。縄文土器の装飾が最も雄大に発達するのが中期で、前橋市の旭久保C遺跡、鼻毛石中山遺跡、五代伊勢宮Ⅳ・Ⅵ遺跡、高崎市の上野国分僧寺・尼寺中間遺跡、白川傘松遺跡、高崎情報団地Ⅱ遺跡を紹介している。
旭久保C遺跡では、長野県東部を主な分布域とする「焼町類型」といわれる土器や、関東、中部、北陸など各地域の特徴を持つ土器が出土しており、さまざまな地域との交流を基盤として集落を営んでいたことが見られる。箕郷町の白川傘松遺跡は、長期にわたり集落が形成され、未調査部分も含め100軒以上の住居があると推測されている。榛名南麓の拠点になっていた集落の一つと考えられ通常の集落からは出土しないヒスイ製大珠や土偶、香炉型土器が出土している。甲信地方の特徴を持つ土器も多く、西からの影響を受けやすい立地を示している。高崎情報団地Ⅱ遺跡は、彩色のある浅鉢型土器がまとまって多数出土し、全国で稀な例となっている。糸魚川周辺から持ち込まれたヒスイ製大珠は、県内で出土した中で最も質の良いものの一つとなっている。
入場無料。午前九時から午後六時。二月八日まで。