食品リサイクルで意見交換/地域協議会の設立へ
(2009年10月21日)
高経大でシンポジウムを開催
食品残さを家畜飼料化し、高崎地域での食品リサイクル循環をめざす「高崎食品リサイクルループ協議会」設立への動きが進んでいる。食品加工業やスーパーから排出された野菜くずを家畜飼料として再資源化し、CO2削減、地産地消の推進、地域での食料自給率を高めていくのが狙いで、全国初の地域取り組みとして注目を集めている。
八日に高崎経済大学で、協議会設立に踏み出すためのシンポジウムが開催された。準備会委員長は、高経大の大宮登副学長。同大が内閣府と連携する「現代の地域づくり」、地方の元気再生事業の一環として実施された。
高経大の吉田俊幸学長は「世界の飢餓人口は先進国が無駄にしている食料でまかなえると考えられている。食品リサイクルは市民の生活実感を伴い、大切な取り組みとなる」とあいさつした。
基調講演は、農林水産省大臣官房政策課の榊浩行参事官が「地域活性化と食品リサイクル」とテーマに、国内外の食料問題と解決に向けた食品リサイクルの重要性について説明した。榊参事官は「日本の食生活がぜいたく化し、食料自給率が低下する一方、耕作放棄地や高齢化など国内農業が抱える課題は克服しがたい現状にある。また、飼料穀物もアメリカに多くを依存し、飼料価格の高止まりで畜産農家の経営を圧迫している。農業が農業の枠内にとどまっていては問題の解決ははかれず、多業種が参画する食品の飼料リサイクルなどの取り組みが重要である」と講演した。
シンポジウムでは、高崎地域の食品リサイクルについて関係者が次のように意見交換した。
芝崎勝治氏(IRM株式会社)=食品廃棄物はごみではなく資源。大手によるリサイクルループは数多いが、高崎では地域企業が力をあわせて取り組んでいるのが特徴だ。食の安心安全を目標に計画づくりに取り組みたい。
武井勝彦氏(高崎ビューホテル料理長)=当ホテルでは、プロの料理人として食品残さを排出しないよう工夫している。食品リサイクルによる地場産野菜や豚を食材として活用しようと参加した。お客様の舌も肥えている。良い食材を生産し、ブランド化のためのネーミングも工夫し、訴求力のある商品を開発することが重要だ。
木村正志氏(IRM株式会社)=食品加工業者から排出される食品残さを品目別に回収し、リサイクル、リユースさせる。再資源化のプラントは来年度から本格稼働させたい。
植木威行氏(株式会社フレッセイ副社長)=食材を提供する事業者としてリサイクルループに参加したい。どういう企業でありたいかを表現する機会であり、企業の社会的責任でもある。環境に配慮した商品をお客様に啓蒙し、地域スーパーの在り方を示したい。高崎、群馬に根付いた取り組みとして成功させたい。
片亀光氏(環境評価機構)=リサイクルループへの参加を拡大し年内に協議会設立させたい。企業の利害を超え、高崎地域のブランド力を高めながら地域全体の環境負荷を下げることができる。