発達障がい支援センターの設置を検討/高崎市
(2009年7月10日)
高崎市は、高崎市議会一般質問で、逆瀬川義久議員の質問に答え、発達障がいの早期発見や療育支援のため、支援センターを設置していく考えを示した。
発達障がいは、自閉症、アスペルガー症候群、多動性障がい、学習障がいなど一般に理解されにくく、本人や家族、周囲の人たちとさまざまな問題を引き起こしている。文部科学省の調査によると、学習や行動に困難を示す児童生徒の割合が全体の6・3%となっており、発達障がいへの対応が急がれている。発達障がいは、障がい者施策の中でも新しい領域で、法的な整備が徐々に進んでいるものの、市民の理解も十分とは言い難い。また障害者手帳の交付対象ではなく、行政の体制や支援については現実的にはこれからの分野であることも指摘されている。
発達障がいにより、子ども達の対人関係にあつれきを生じ、いじめの原因となったり不登校、ひきこもりなど、いわゆる二次障がいが心配されることから、逆瀬川議員は、早期発見・療育の重要性を強調した。
高崎市では、一歳六カ月児健診、三歳児健診、就学前健診で問診が行われている。集団生活の中で障がいが現れることが多いため、三歳前では発見が難しく、就学前では対応が遅くなることから、同議員は五歳健診を提案した。早期に発見し、成人まで一貫した指導を行うことが大切だ。
二十年度に示されたデータでは、1歳六カ月児健診で発達障がいの疑いがあり、要観察とされた幼児が約14%で約440人、判定の難しいグレーゾーンが含まれている。三歳児健診では、既に発達障がいの診断を受けた児童を除き、要観察者が受診者の約4%約120人となっている。
これまでも高崎市では、幼稚園や保育所では発達障がいと思われる子ども達に対して、健康課と連携して対応している。また市教委でも特別支援教育の児童生徒が増加していることから個別指導に力を入れてきている。通級指導教室の職員が要望のある学校へ出向き、担任教師等の相談に応じている。しかし各担当部署が、それぞれの力の及ぶところで努力しているのが現状で、専門の医師、スタッフ不足などの課題を抱え、市はこのままの体制では不十分だと認識している。市は、発達障がい支援について具体的な検討を行っており、支援センター・療育施設の設置をめざしている。発達障がい支援のNPOや、高崎健康福祉大学の専門家との連携も示されている。
逆瀬川議員は、集団健診では一度に大勢が受診するため、診断体制に限界があることから、相談指導に力を入れていく必要があることを強調し、支援センターの設置を評価した。また、子どもが発達障がいであることを保護者が受け入れず、二次障がいを招いていることもあるため、「福祉、教育、子育て様々な角度から取り組んでほしい。中核市移行時には対応できるように」と要望した。