喫茶店「あすなろ」をもう一度
(2009年4月20日)
「あすなろ」跡で崔さんを偲ぶ集い
詩人で元「あすなろ」店主だった故・崔華國を偲ぶ集い「あすなろ忌」が、鞘町の元店舗跡で十二日に行われた。
あすなろは、群馬交響楽団員によるコンサートや詩の朗読会などが行われ、高崎の文化の象徴でもあった。あすなろ忌は崔さんの命日にあわせて開催され今回が八回目。詩人や当時の関係者らが集い、あすなろの果たした役割や思い出について語り合った。
主催者の曽根ヨシさんは「心の中にある懐かしさが建物の中に入ると現実のものとなる。あすなろの時代に帰った気持ちで楽しみたい」とあいさつ。あすなろの取材を長く続けてきた上毛新聞の藤井浩さんは「今は空き店舗にしか見えないが、閉店後二十七年間、建物が残っているのは奇跡。初めて来た人も何かを感じることができる。あすなろの復活させようとする動きも崔さんの純粋さがもたらしたもの」と語った。
画家の石澤久夫さんが「あすなろ開店の頃」をテーマに当時の思い出を講演した。また崔さんや豊田一男など高崎ゆかりの詩人たちの作品を朗読し、かつてのあすなろの雰囲気を楽しんだ。アメリカ在住の崔さん夫人・金善慶さんも参加し「一年をこの日のために生きている。あすなろは魂の場所。永遠に続くだろう」とあいさつした。
あすなろを復活させようという声が市民の中から上がっており、昨年の緑化フェアでは、店舗跡で「まちなか寄席」を開催し話題となった。地元さやもーるの友光勇一さんは「みなさんの力であすなろを再建し、まちを元気にしたい」、高崎市の座間副市長は「あすなろの復活を実現する時期に来ている。運用や経営の安定も含めて具体化を検討しよう。具体化して初めて文化が戻ってくるのではないか。高崎市も応援したい」とあすなろ復活への意欲を示している。
あすなろの建物は三階建てで、1フロアを高崎経済大学のまちなか拠点にしてはどうかなど、公共性のある機能を取り入れていくなどの考え方も出ている。あすなろ復活を願う声はあるが、一方で運営主体や組織、採算に乗せるための経営など大きな課題もある。