「音楽のあるまち」認識に相違

(2008年12月18日)

「音楽のあるまち」認識に相違マーチングフェスティバル・車郷小

ミュージック高崎ジャパンに疑問符も

 12月11日の市議会一般質問で白石隆夫議員は「音楽のあるまち高崎」のまちづくりについて市の考えをただした。

 「音楽のあるまち」は、高崎市の市民文化をあらわすキャッチフレーズとして定着している。「音楽のあるまち」の理念は、1990年から始まった高崎音楽祭、高崎マーチングフェスティバルとともに誕生した経緯がある。高崎音楽祭、高崎マーチングフェスティバルは、「音楽のあるまち」のリーディング事業として位置づけられ、群響とともに高崎市民の音楽文化の象徴となっている。

 「音楽のあるまち」の理念のもと、市民音楽活動の支援、発表の場の提供、まちなかを舞台にしたにぎわい創出が試みられ、その蓄積は、現在の高崎のまちづくりに大きな影響を与えている。

 松浦市長は「市民主体のまちづくりが高崎の伝統」とし、市民活動を強力にバックアップしてきた。高崎音楽祭、高崎マーチングフェスティバルも「音楽のあるまち高崎」のまちづくりとして、高崎市から支援を受け、市民による実行委員会が運営し、高崎市を代表するイベントになっている。高崎映画祭、スプリングフェスティバルなども同様の手法であり、全国都市緑化フェア高崎まちなか会場も、この高崎方式で成功させた。

 高崎市が多額の補助を行っている音楽イベントは、高崎音楽祭、高崎マーチングフェスティバルがあり、今年度からミュージック高崎ジャパンが加わった。ミュージック高崎ジャパンは、アメリカ第七艦隊音楽隊と陸海空自衛隊音楽隊の無料コンサートを中心に、8月22日から24日まで「ブラスの祭典」として大小30本以上の企画で構成された。目玉となる第七艦隊の出演がキャンセルされたが、演奏会のクオリティは高く、クリニックや公開リハーサルなど吹奏楽ファンを集めた。

 ミュージック高崎ジャパンは、トップレベルの吹奏楽団を毎年8月下旬に高崎に集め、全国から注目される音楽イベントをねらっている。高崎市は、ミュージック高崎ジャパンを定着させ、高崎音楽祭、高崎マーチングフェスティバルと共に、「音楽のあるまち高崎」の三大イベントに位置づける考え。

 ミュージック高崎ジャパンは初めての開催で実行委員会形態がとられているものの、実質的には市が主導。開催に至る事情もあって、大型のフェスティバル形式に仕上げられた。ミュージック高崎ジャパンの開催時期や音楽性の類似から、これまで高崎音楽祭、高崎マーチングフェスティバルを支援、協賛してきた市民・企業などから、開催を疑問視する意見が計画段階から出ていた。

 マーチングフェスティバルと同じ吹奏楽分野の大型事業を、1千万円以上をかけて新たに重複して行うことに疑問が残るという関係者は少なくない。高崎音楽祭、マーチングフェスティバルは、市民組織が主体になり、官民協働で19年間行われてきた。高崎音楽祭、マーチングフェスティバルの実行委員会からは「ミュージック高崎ジャパンの開催は、高崎音楽祭、マーチングフェスティバルの意義を市が評価していないのではないか」と落胆の声も出ている。実行委員会組織や協賛についても、これまで続けてきた高崎音楽祭やマーチングフェスを選ぶのか、新たに市が始めたミュージック高崎ジャパンを選ぶのか、市民側にとっては踏み絵のようなかたちになってしまっている。

 白石議員は、別個のイベントとせずに、秋の音楽祭シーズンに一連の事業として行うことを提案したが、高崎市は、あくまで単独の事業として開催していく考えを強調。「イベント同士が切磋琢磨することで高崎の音楽文化がレベルアップする」と述べた。次回はミュージック高崎ジャパンを吹奏楽の児童、生徒らに周知し、参加を呼びかけていきたいと考えている。

 また、高崎市教育委員会は、マーチングフェスティバルの参加には、音楽教育の課程外であると距離を取っている。合併地域からのマーチングフェスティバルへの参加は、車郷小学校1校。白石議員は、前橋まつりのマーチングには前橋市内全小学校が参加することを示したが、市教委は、楽器の整備や指導の問題を上げ、婉曲に将来的な参加校の拡大も否定した。白石議員は「音楽を演奏しながらパレードした楽しいまち、と子ども達が胸を張れるよう、配慮してほしい」と要望した。

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