井上工業が破産

(2008年10月17日)

 井上工業(和田町・中村剛社長、東証2部上場)と子会社のフォレスト株式会社は16日、破産開始手続きを東京地裁に申し立て、決定を受けたことを発表した。

 負債総額は井上工業が115億6786万円、子会社が9億4719万円で、あわせて125億円。

 井上工業は白衣大観音を建立した井上保三郎氏が明治21年(1888)に創業。昭和4年に井上工業株式会社を設立し、120年の歴史を持つ。井上工業の保三郎、房一郎社長は高崎の産業、芸術文化のリーダーとして時代を牽引した。房一郎氏は、群馬交響楽団の設立、アントニン・レーモンド設計の群馬音楽センターの建設に尽力し、群馬県立近代美術館が開館した際には、自身の戸方庵コレクションを寄贈するなど、高崎に大きな貢献をしてきたことは市民によく知られている。

 経営の悪化が進み、平成12年に特定調停手続きによって金融機関の債務免除を再建を行った。しかし改正建築基準法の施工、サブプライムローン問題に端を発した不動産市況の悪化で受注が減少し、資金繰りが悪化した。

 第三者割り当て増資と新株予約券発行を決め、支払い期日の今年9月24日に割当先から18億2000万円全額が振り込まれたが、同日に同社従業員が、無断で第三者に15億2000万円を流出させていたことが発覚した。このため取引債務や手形決済の資金繰りのメドがたたず、破産申し立てに至った。下請け企業の連鎖倒産など影響が懸念されている。

 同社株価は今年8月以降40円台から下落を始め、9月は10円台を維持していた。10月に入り下落し、16日は4円。破産が伝わった17日は1円売りとなった。東証は17日に整理銘柄とし、10月31日で上場廃止すると発表した。

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