伝統と文化を生かす創造都市へ
(2008年7月29日)
まちづくりシンポジウム「交流と創造〜輝く都市の時代」
まちづくりシンポジウム「交流と創造〜輝く都市の時代」が七月二十八日に市内ホテルで開催された。平成二十六年に予定されている北陸新幹線の金沢延伸を見据え、「交流と創造」をキーワードにした新しい時代の新しい都市づくりを討論した。金沢市長、長野市長、高崎市長による鼎談の予定だったが、山出保・金沢市長の急病と豪雨による鉄道不通のため、残念ながら金沢市が欠席。基調報告の大阪市立大学大学院・佐々木雅幸教授が金沢大学に十五年間勤務し、金沢市の施策にも携わっており、同市の都市戦略を紹介した。
基調報告で佐々木教授は、バルセロナやサンフランシスコなど欧米の都市事例から、創造都市の潮流を説明。「市民の創造的な活動が産業を生み出している」とし、「創造的な人とビジネスが集まる環境づくりに都市政策の関心が集まっている。文化・芸術が社会のインフラであり、文化を大切にしない都市は競争力を失う」と指摘した。金沢市では、伝統的なまちなみが失われる危機感から市民によるまちづくりが行われ、成功を収めている。工場や銀行など歴史的建造物を活用した芸術拠点施設整備などを事例として紹介した。
シンポジウムでは、鷲澤正一・長野市長が長野五輪後のスポーツを中心にした施策が実を結んできたこと、善光寺と松代の歴史と伝統、二百作品の展示を目標にした野外彫刻を紹介した。松浦市長は、中山道の宿場から発展した高崎の交通拠点性、駅を中心としたまちづくりを歴史的に説明。群馬交響楽団と音楽センター、映画祭など市民が主体となった高崎のまちづくりの伝統について話した。長野市長から環境政策の重要性が指摘されたのを受け、松浦市長は本市の姉妹都市による「地球市民会議」を紹介。佐々木教授は「クリエイティブシティであると同時に、サスティナブル(持続的)シティであることが重要だ」とまとめた。