レーモンド設計のピアノを発見

(2008年5月23日)

レーモンド設計のピアノを発見レーモンド設計/ヤマハG2B

 群馬音楽センターを設計した建築家アントニン・レーモンドが設計、デザインしたグランドピアノ一台が市内のピアノプラザ群馬(問屋町西1−3−10)で確認され、展示されている。高崎市美術館でレーモンド展が開催され、レーモンド建築を伝える高崎哲学堂(旧井上房一郎邸)、音楽センターとあわせ、偉大な建築家の作品を知る貴重なピアノとして、注目を集めそうだ。

 レーモンドがデザインしたグランドピアノは、ヤマハ社製のG2Bという型式。本体は角張ったデザインでマホガニー色、足は黒のツートンカラー。ピアノプラザ群馬で中古ピアノとして販売されているものの中の一台。中森隆利社長が製造元に問い合わせたところ、レーモンドがデザインした作品であることが確認された。1962年から1966年頃まで製造、販売されていた。

 建築家のレーモンド水上勝之さんは「アップライトピアノをデザインしたことは記録されているが、グランドピアノが確認されたのは、これが初めてではないか」と話す。

 当時、レーモンドはヤマハ銀座ビルを手がけており、G2Bはビルの竣工記念にデザインした稀少なモデル。ヤマハでは、特にプレミア商品ではなく、通常のピアノとして販売していたという。設計図面等は詳しい資料は見つかっていない。中森社長は「G2は国内の家庭用に普及をねらったシリーズ。レーモンドも客層をとらえてデザインした。ヤマハはレーモンド設計のピアノとして、特別扱いはしていなかったようだ」と考えている。ピアノプラザでは、G2Bの価格は、中古ピアノの標準的なものとしており、レーモンドがデザインしたことでの格付けはしていない。

 G2Bの特徴は、木目調の本体と黒色の足。本体の曲線や譜面台、鍵盤周辺のデザインは、機能的でレーモンドらしさを感じさせる。音響部は他のピアノと共通だが、音質は明るくクリアに響いている。ピアノの色は日本では黒、ヨーロッパでは、木目調が主流で、本体と足に色を変えることで、「日欧の調和を意図したのではないか」と中森社長は感じている。

 何台製造されたかヤマハでも確認できないが、同社では、これまでにレーモンド設計とは知らずに六台を流通させている。展示品以外に、もう一台所有しており、そちらは本体がツヤ消しであることから、オリジナルデザインは、ツヤ消しであったのではないかと考えられる。

 中森社長は「美術館でレーモンド展が行われ、市民が音楽センターについて議論をしている中で、レーモンドのピアノが見つかったのは時のめぐりあわせ。レーモンドゆかりの高崎にこのピアノがあることに意味がある。市民の方や建築家、研究者にピアノを見ていただければうれしい」と見学を歓迎している。水曜定休。問い合わせは TEL: 363・1262。

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