高崎出身の若手画家/根岸陽子・水村綾子
(2008年1月24日)
高崎市美術館で「作家王国」が二月三日(日)まで開催されている。
作家王国は、群馬県出身の若手作家を紹介する企画展で年に一回行われている。四回目となる同展では、根岸陽子と水村綾子の「こころのかたち」を表現した作品を紹介している。
根岸は昭和五十一年に高崎市で生まれる。女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻卒業、女子美術大学大学院美術研究科版画領域修了。銅の版に先の尖った道具で引っかいて線を描き、そこにインクを流す銅版画という手段を用いている。大作が多く、迫力がある。陰影からは風や温度、音を感じるような不思議な印象をもつ。展示では、明暗をよりみやすくするよう、照明を工夫したという。
水村は昭和四十四年に高崎市で生まれる。女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻卒業、女子美術大学芸術学部絵画科洋画研究生修了。油絵の具を何層かに塗り重ねながらも、透明感のある色彩で、見る人を包み込むような作風が特徴的。大学卒業後は感情をむき出しにして強い線で描いていたが、最近は自分や見る人が疲れてしまわないよう威圧感がない作品にしているという。
根岸は「人は自分の“想い”を重ねてモノを見ている。一人一人異なるその世界は時と共に曖昧になり、リアルな感触だけを心に残す。私は自分の感触をイメージ化し、観る人が作品を通して自分の感触を思い出すきっかけになればと願い、版に向かっている」、水村は「人それぞれ期限付きの時間を持って偶然を繰り返し日々を生きる。ひとたび、それを意識した時、なにげない出来事がかけがえのないものへと変わる。そのかけがえのない時を、その不思議さの中にある美しさを、一枚の絵画として表現したいと思っている」と話している。