国府地域で採れるからこそ国府白菜
(2011年1月)
国府白菜はJAはぐくみの直売所はもちろん、近隣のスーパーの地場産野菜コーナーなどで購入できる。
蜂須賀隆広さん
国府白菜
国府は野菜づくりに適した土地
国府白菜というと、「國府」と朱書きされた黄色の帯に巻かれ二個一束で店頭に並ぶのを見かける人も多いのではないでしょうか。国府白菜の特徴は、肉厚で柔らかく、なにより甘みがある。「他の白菜を調理するときと同量のみりんや砂糖を使うと甘すぎてしまう」という主婦の声が聞かれるほど、糖度が高い。
出荷期間は11月10日頃から翌年3月上旬まで、「ときどき国府白菜の種を欲しいという人がいますが、国府白菜というのは、国府地域でとれる白菜の総称。主に作付されている品種は、“黄ごころ”“勝黄”“きらぼし”“黄望峰”がありますが、国府白菜の種というのは特にありません」と話す蜂須賀さん。
「国府地域は、榛名山の噴火による火山灰の堆積でできた肥沃な土地。砂と粘土があんばいよく混ざり合って、水分や空気を蓄えて軟らかさがあり、特に野菜づくりに適している。同じ品種でも他の土地で栽培された場合、国府白菜の食味や甘さを得られないからこそ、この国府の土地が育てた白菜がブランドになるのです」と強調する。
例年12月中旬ごろJAはぐくみ国府支店で行われる「国府白菜祭り」は、マスコミにも多く取り上げられ、すっかり馴染みとなっている。白菜祭りでは大量の国府白菜が用意され、通常より安く販売されることもあり、白菜漬けや浅漬け、キムチ、鍋用に買い求める人々で賑わう。なかには軽トラックを横づけして大量購入する人もいて、ブランド野菜の人気に圧倒される。
消費者や市場のニーズに対応し全国へ
国府白菜の栽培のピークは昭和53年頃で、当時の作付面積は約40ヘクタール。生産農家は200軒。現在は20~25ヘクタールで生産農家も120軒前後とともに半数近く減っている。
蜂須賀さんたちのグループでは、県内はもちろん首都圏を中心としたスーパーなどへの流通を増やそうと、8年前から輸送の際の効率性、利便性を高めようとダンボールの箱詰めで出荷する共同出荷を行っている。さらに、1個4~4・5kgの大玉よりも小振りの白菜を求める消費者ニーズに対応するために、大きさや品質を揃える白菜作りを行っている。「スーパーなどでは、白菜が4分の1や6分の1にカットされて店頭に並ぶことが多い。白菜漬けの樽がある家庭が少なくなった今日、一回食べ切りサイズで購入する家庭が増えました。種を蒔く際に株間などを狭くして小振りの白菜に仕上がるよう栽培したり、カットされたときに好まれる黄色い芯の白菜を栽培したりと、ニーズに対応しています」と話す。
白菜の生産量は、群馬県は全国5位、国府地域は県内5位。農家の後継者不足や高齢化で、重い白菜の収穫作業は重労働。蜂須賀さんは、熟練した栽培技術を活かし産地を維持発展させるため、収穫時期に“助っ人部隊”を編成するなど、アイデアを練って国府白菜を全国ブランドへ育てていく。
名物をつくろう
〈美味しい白菜漬けのつくり方〉
- 白菜の重さの3%分の塩を用意し、白菜を縦6分の1に切り分ける。
- 株のところに振りかけるようによく塩を振り、ぎっしりと漬け込み、余った塩は最後に上に振りかける。
- 漬けた白菜の2倍くらいの重石をのせ、一晩で水が上がるようする。2日目に水の上がった白菜を天地がえし(他の容器に上から移し、漬けかえる)をする。余分な塩水は捨ててしまってよい。また、漬けかえるときに、昆布・唐辛子・ユズ・にんにく等を入れても、オリジナルの白菜漬けができる。
- 重石を乗せてから2日くらい経つと食べられるようになる。(レシピ提供/国府野菜本舗)
国府白菜共選出荷部会
部会長:蜂須賀隆広
連絡先:はぐくみ農業協同組合 国府支店
高崎市引間町225
TEL027-373-2014
http://www.ja-hagukumi.or.jp/
高崎商工会議所『商工たかさき』2011年1月号