430年の歴史から生まれたスローフード「糀たまり漬」

(2010年10月)

商品は問屋町店・元紺屋町店・スズラン高崎店で販売。インターネットでも購入できる。お皿の上側が「きゅうり」で下側が「だいこん」。それぞれ577円(230g)。商品は問屋町店・元紺屋町店・スズラン高崎店で販売。インターネットでも購入できる。お皿の上側が「きゅうり」で下側が「だいこん」。それぞれ577円(230g)。

飯嶋藤平さん飯嶋藤平さん

糀屋(こおじや)

自然の恵み+伝統の技

 野菜など食材の保存性を高めると同時に熟成させ、風味や食感を生かした保存食として古くからある漬物。中でも「たまり漬」というのは、味噌の製造過程でできる上澄みの“たまり”や醤油などを主原料とする調味液に食材を漬け込んで作られる。糀屋の「糀たまり漬」は、日本古来より伝わる天然の米糀と生揚(きあげ)醤油の樽にじっくり食材を漬け込んだもの。漬け込む期間は食材によってまちまちで、一番長いらっきょうは、2年から3年を要する。

 「当社では、0℃~2℃を保ってじっくり漬け込みます。時間をかけて浸透圧のみで漬けるので、素材の旨味がちがいます」と話す第22代店主の飯嶋藤平さん。素材を厳選し、機械や数値に頼らず、自分の感覚を信じて手作りする。長年の経験や勘によって丁寧な仕事をすることで、自社ブランドへの自信を深める。

 わらび、しょうが、たけのこ、らっきょう、はやとうり、きゅうり、なすなど、野菜がたくさん収穫できる夏季は、たまり漬の仕込みも大忙しとなる。

 「食感といい味といい、旬のものが一番美味しく漬かります。素材を旬の時期に漬け、半年後の裏シーズンに食べるというのが、おすすめしたいたまり漬の味わい方。きゅうりは2月、大根なら4月頃です」。冷蔵技術の発達で暑い盛りの仕込みも可能となり、店頭に並ぶ商品は常に“食べ頃”のみだ。

子どもたちへのアプローチは、未来への布石

 糀屋の歴史は驚くほど長い。飯嶋喜太夫という人が永禄六(1566)年に和田宿(現高崎市)に居を構え、初代糀屋藤平(とおへい)と名乗ったという記録が残る。以来四百数十年にわたって醸造業を営み、現在22代目を数える。「室町時代末期から安土・桃山時代の頃。箕輪城主の長野氏に、醸造技術を持っていたことから武士に取り立てられ、現在の元紺屋町の自宅から何かあれば館に参じていたようです」。

 長い歴史の上に、同じくらい長い未来を築きたいと考える飯嶋さんは、代々伝わる商売の心得をしっかりと守りながら、次代を見据えた商売を展開する。小学生をターゲットとした商品開発や、学校などから依頼される「手作りみそ教室」などにも積極的に協力している。

 また、全国各地で行われる催事にも出店し、地域の味覚の嗜好を探り、商品の売込みを図る。より良い素材を求めて全国の産地を巡り、農家に契約栽培を依頼する。自信の持てる自社ブランドの確立に労を惜しまず消費者に安心を届ける。

 430年以上にわたって高崎の風土と加工技術で育まれ親しまれてきた郷土の味。米糀による天然の甘みと旨味を生かし合成保存料等無添加・低塩の健康食品「糀屋の糀たまり漬」は、贈答用、進物用、自宅用に最適な紛れもない高崎名物だ。

名物をつくろう

糀屋では随時「手作りみそ教室」を開催。

 工場で作られた味噌が主流の現代だからこそ、手作りみそを味わってほしい。“たのしい・おいしい・けんこう・あんぜん”をキーワードにした「手作りみそ教室」は、初めての人でも、一人でも気軽に参加できる。材料代は実費。約1時間の講習で10キロほどの味噌ができる。会場は問屋町店。また、ある程度人数がまとまれば、調理設備のある公民館や学校などに無料出張講習も行っている。作ってから4ヶ月~6ヶ月後が食べ頃となる。親子で参加したら、食卓の会話が弾み、笑顔があふれること間違いなし。楽しい“食育”の時間としても有効だ。

糀屋

問屋町本店:高崎市問屋町2-10-4
TEL:0120-12-5028
営業時間:9時~18時 年中無休
http://www.komenohana.com/

高崎の都市戦略 最新記事

勝ち残る専門店

グラスメイツ
グラスメイツ
メガネ店の店員も買いに来るメガネ専門店
辰巳
辰巳
印傳と陶器の専門店/県外からもお客様
有限会社三洋堂
有限会社三洋堂
パソコン全盛時代に書道のおもしろさを伝える

すべての記事を見る