コーヒー豆一粒一粒へのこだわり
(2010年5月)
新田町交差点から観音通りを聖石橋方向へ向かって左
石田さんのコーヒー工房。店内はテーブル席とカウンター席
新田町交差点近くに、コーヒーの自家焙煎工房と喫茶店を兼ねた店「いし田珈琲」を7月17日に開店させた石田登さん。石田さんは、レンガ通りで長く喫茶店を営んでいたが、心機一転、コーヒーへの思いを新たに、73歳の一大決心だった。
石田さんはコーヒーの世界に入って42年。東京・青山で初めて自分の店を持ち、健康上の理由から、都会を離れることになった。適地を求めて首都圏をあちらこちら探し回ったそうだ。たまたま高崎に来てみたところ気に入ってしまい、田町のバス停近くに店を出した。「当時の高崎のにぎわいはすごかった」そうだ。駅前、レンガ通りと移りながら高崎で33年間。「おいしいコーヒーをお客様に」と、穏やかな人柄の一方、コーヒーへの姿勢を頑固に貫いてきた。
十五年ほど前から手がけている自家焙煎のコーヒー豆。ファンが、少しずつ口コミで広がり始め、今では全国から引き合いを受けている。おいしさの秘訣は手間を惜しまない豆の選別と焙煎技術。生豆の段階と焙煎後に手作業で一粒一粒を確かめる。状態の悪い豆が一粒でも混じると、豆全体に影響してしまうそうだ。石田さんの豆でいれたコーヒーは、光沢が艶やかで味と薫りが深い。
「人生の仕上げに石田の名を店に掲げたかった」という妻の充得(みつえ)さんと夫婦で店を切り盛る。石田さんは、徹夜で店の内装を仕上げ、開店に間に合わせた。瀟洒な雰囲気とコーヒーの薫りが漂う落ち着いた店づくりだ。カウンター奥には焙煎釜とコーヒー豆の麻袋が見える。開店を祝って友人や常連客から贈られた花が店内を飾っている。
「石田の味を楽しんでもらえるだけでうれしい。まちかどに小さな花を咲かせたい」と充得さん。「コーヒーしかできない不器用な人生ですよ」と石田さんは微笑んでいる。
営業時間は、午前8時45分から午後7時。なるべく安くコーヒーを楽しんでほしいとブレンドコーヒーが300円。軽食のセットは500円程度から。7月22日(木)まで開店記念セールで、コーヒー豆がブレンド200グラム500円、ストレート各種550円。電話328・6999。