名物にしたいけど買えないほどの大人気!かりんとうまんじゅう

(2010年2月)

名物にしたいけど買えないほどの大人気!かりんとうまんじゅう「かりんとうまんじゅう」 1個90円

御菓子司おゝみや

 

●“日本一の硬さ”にこだわった

濃い茶褐色のまんじゅう、お世辞にもビジュアル系とは言えないが、ぱくっと一口ほお張ると?・?・? カリッと音のする意外な歯応え。サクサクした食感とともに、口の中にかりんとうに似た香ばしさが広がり、後からこし餡の控えめな甘さがやってくる。硬いまんじゅうという意外性と、二重三重に押し寄せるおいしさの波。これが、ちまたで評判の「かりんとうまんじゅう」だ。


 今や「かりんとうまんじゅう」という名の商品は世に多く存在しているが、「御菓子司おゝみや」のかりんとうまんじゅうの人気は半端ではない。平日は2,000~3,000個が、開店2時間程で売り切れてしまうという。「1月下旬の土日には80人近くのお客さんに並んでいただいて、開店30分で無くなってしまいました。せっかく足を運んでいただいたのに購入できなかった方には、大変申し訳ないことです」と話す大塚さん。全国から電話予約が入るが、発送できるまでに約3週間はかかってしまうという状態が続いている。


大塚さんが、かりんとうまんじゅうを発売したのは、一昨年4月のこと。お店に出して約1カ月はお客さんの反応はいまひとつだったが、購入者がブログで「日本一硬いまんじゅう」と紹介したことから口コミで評判になった。約2年たった今でも人気は一向に衰える気配はなく、週末になると県外からもお客さんが押し寄せる。10社以上のマスメディアに登場し、今回の取材の折にも“売り切れました”の張り紙にもかかわらず、5、6人のお客様が本当にないのか念を押し、残念そうに帰って行った。


●スイーツのヒットメーカー

 創業は1950年。父親の勘三郎さんが冠婚葬祭用のまんじゅうなどを扱う菓子屋を営んでおり、跡を継いだ大塚さんは、独学でお菓子づくりを学び、常にお客様に支持される商品開発に努めてきた。金柑入りじょうようまんじゅうや生クリーム大福なども、独自の視点で趣向を凝らし好評を得ている。


 「人に真似のできないものを作り、お客様に感動を与えること、良いものを安く提供するということをモットーにしています。例えば いちごの生クリーム大福は、いちごを練りこんだ皮と、その内側のこし餡、さらにその中に生クリームという構造で、“三重包餡”と命名しました。手間はかかりますが、お客様に喜んでいただいています」。


 しかし、他店でも類似品が並び出したことで、より新しいものをと、かりんとうまんじゅうを生み出した。納得のいく硬さとカリカリ感が出るまでに約3カ月を要したという。


 「今回は思い切った設備投資をして勝負に出ました。勝算はありましたが、これほどのヒット商品になるとは思いませんでした」と、この2年間を振り返り、「次なる商品はもう考えています」と話す大塚さんは、御菓子職人というより、スイーツのヒットメーカーといった印象だ。


●名物をつくろう

 かりんとうまんじゅうは1個90円。1箱(10個)は950円。多くの人に購入してもらいたいと、平日は1人50個、土日は30個までと制限している。

 軟らかさが自慢となりがちなまんじゅうに、“日本一の硬さ”を求めた逆転の発想。そして周囲に何もない?山間部の菓子屋1店舗でしか買えず、行列ができる痛快さ。「なかなか手に入らない」は、“おいしい”を感じる重要な要素。食べる人を笑顔にし、話題に花が咲くこと間違いなし。


名物にしたいけど買えないほどの大人気!かりんとうまんじゅう

御菓子司 おゝみや
社長 大塚千真喜
高崎市下室田町1068
電話:027-374-0075
営業時間:9:00~18:30水曜定休


※メニュー・価格等は取材時点のものです

高崎商工会議所『商工たかさき』2010年2月号


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