山里の一軒家 そばっ喰いが集う庵
(2009年11月)
手打ち蕎麦 そばっ喰ひ
●前菜はロケーションとたたずまい
JR高崎駅から車で約10分。高崎市内を一望できる自然豊かな観音山は市民にとって特別な存在。その山頂付近、観音山霊園入口の木立に囲まれた細道を入っていくと“庵”という言葉がぴったりの「そばっ喰ひ」がある。
トクサやシダが生え茂り、信楽焼きの壺がいくつも置かれた野趣あふれる庭。この季節には、ひさしのように庭を覆う晩秋のもみじが出迎える。中に入ると懐かしい風情の土間に囲炉裏、正面の窓の向こうに広がる高崎市内の眺望。席に座るまでに、いろいろな感嘆と感動がある。まずはセルフサービスのそば茶を一杯いただく。
●作った器に“何かを盛りたい”陶芸家が始めた蕎麦屋
店主の藤屋俊之さんは、陶芸家。店で使われている食器は、全て藤屋さんが隣接の薪窯で一週間かけて焼きあげたもの。お座敷の床の間に飾ってある埼玉県知事賞を受賞したりっぱな壺も藤屋さんの作品だ。「器を作り続けていたら、そこに盛るものも作りたくなりました。蕎麦は以前から打っていて、仲間内で評判がよかった」と、一周年を迎えた店を開店した理由を話してくれた。
●挽きたて、打ちたて、茹でたて
北海道の幌加内(ホロカナイ)産の最高級蕎麦を使用し、“挽きたて、打ちたて、茹でたて”にこだわって二八蕎麦を提供する。薄緑色をした蕎麦に、岩塩を少しかけて蕎麦の香りを楽しみながらすする常連さんの姿が印象的だ。
「皿盛りそば」(600円)には、香の物「旬の3点盛り」と「そば寒天」、「そば湯」が付く。寒天の黒蜜も自家製で、ゆで汁ではなくわざわざ作ったそば湯は、ストレートでも美味しくいただける。そば粉100%の「そばがき」(500円)はもっちりとして軽い食感、わさび醤油との相性抜群だ。手作りの厚い鍋でサッと湯がくのがもっちりの秘訣という。
藤屋 俊之さん
高崎市石原町2471
電話:027-325-0670
営業時間:11:30~15:00
(夜は18:00より予約にて営業)無休
※メニュー・価格等は取材時点のものです
高崎商工会議所『商工たかさき』2009年11月号