宮大工の魂が入った家
(2011年1月)
木の持ち味を最大限に活かす
丸喜製材有限会社
榛名・中室田にある丸喜製材は、木材の仕入れから製材、設計、建築、引渡しまでを自社で一貫して行う数少ない工務店だ。専務である勝利さんは大工棟梁も務めている。先代の祖父が宮大工で、勝利さんも4年間、福井県の宮大工のもとで修行した。全国の社寺の保存修理をしながら、木を使った建物の素晴らしさや日本の木造建築の合理性、細かい技術やデザインに感銘を受けた。それらを現代の一般住宅にも取り入れたいと思い帰郷した。家業に入り3年、父である社長に家づくりの方向性や設計を任されてから、独自の家づくりが始まった。
勝利さんが手がける代表的な家づくりは、太い梁の通った古民家風の家。木肌が直接見えるために、納得のゆく丸太を探しに、山林へ自ら足を運ぶ。木目や節を見ただけで、生育状況が分かるほど、木について精通している勝利さんならではの行動だ。
群馬県産のスギやヒノキ、アカマツなどを調達し、木の持ち味を最大限活かす形で製材する。製材後の乾燥も、木材の質を決定する大切な要素。天然乾燥をさせると香りはよいが、時間がかかるためにコスト高になり、人工乾燥はコストは安いが、木の繊維がバサバサになり独特の香りが少なくなるので、同社では、天然乾燥または中低温乾燥をさせた木材を使っている。そのために、木の香りが強く長持ちする住宅になり、お客様の評判を呼んでいる。
伝統の木造建築技術を活かした家づくり
専務取締役・飯野勝利さん
家作りの細かなところにも、日本古来の技術が採り入れられている。室内の梁や柱には、一般的にステイン剤などを塗ってつや出しや色付けを行ったりするが、勝利さんは、自分で松煙(しょうえん)や紅殻(べにがら)、柿渋などを調合して塗布する。また家の柱には釘を使わず、木組みを行う。結果的に健康的で長持ちする家ができ、口コミでお客様が増えている。
「昔から、100年かけて育った木は、製材して家になってからも100年もつと言われています」。お客様に木の家の良さを知ってもらい、家を住み継いでもらいたいと考えている。
大工育成塾は、技術に優れ志の高い大工を育成しようと、国が3年計画で実施しているプロジェクト。勝利さんはその指導者を務める。勝利さんのもとへは1名の若者が入塾。「技術はもちろん、経営やお客様の接客などを教育し、仲間が増えれば良いと思っています」と笑顔で語った。
丸喜製材有限会社
高崎市中室田町460
TEL:027-374-2323
FAX:027-374-3421
http://maruki-wood.com/