民家には地域独自の文化や歴史が詰まっている

(2010年10月)

民家には地域独自の文化や歴史が詰まっている企業やビルなどの設計も多くてがける

寒冷地万座のトイレ

代表取締役の唐澤勉さん

株式会社 唐澤建築計画研究室

 唐澤さんは、民家の地域性と環境性能を高く評価している。民家は作法として、基本的に家族が4世代に渡って住めるように建てられた。山に木を植えて、建材となるのに70~80年、家族の4世代に渡るライフサイクルとほぼ同じ年月だ。地域で育まれた美意識を背景に、地場の木や材料をその特性を生かして使い、周辺の自然環境の仕組みや微気候を巧みに取り込み、職人の技能の結晶として建てられた民家は、地域の虚飾を排した質実剛健な文化や歴史の足跡を今に伝える。

 そう考える唐澤さんが、近頃取り組んでいるのは、そのような民家、とくに江戸末期から戦前に建てられた民家の調査である。その価値を地域づくり・まちづくりの資源として評価し残そうとしているのだ。

 県内の建築家仲間と力を合わせ、群馬県内の近代和風住宅の調査を行っている。昨年は前橋市の委託で4,000戸の民家の個別調査を行った。今年も1,000戸の調査に加え県内民家30~40棟の詳細調査に関わる予定。

 「群馬の、高崎の魅力ある地域の独自性をアピールし、地域への来訪者を増やすことは、人口減に悩む地域にとっては欠かすことのできないことです。オンリーワンの地域性は、その多くを自然環境と歴史に依存しており、民家の調査や保護は人と自然との歴史的関わりを明らかにし、地域づくりの資源となるからです。」と熱く語る唐澤さん。歴史的建築物の調査をすることは、その土地の歴史を守り、地域独自の良さを発掘することと同じである。

 このままだと、日本の建物はスクラップ&ビルドを繰り返し、日本独自の環境に配慮した住宅文化がなくなる、と唐澤さんは言う。  快適な住環境を提供しさらに地域文化を向上させるために、施主には建物のクオリティと背景にある地域性について、しっかりと説明するように心がけている。

 これからも建築という切り口から、地域づくりに関わってゆきたいと思っている。

豊富な知識と技術はトイレにも

 寒冷地の建築設計では定評がある唐澤さん。凍害などの寒冷地独特の建築トラブルも斬新な手法で解決。従来山間部の公衆トイレは、配管の凍結防止にヒータを巻きつける程度の対策だったのに対し、深夜電力利用の床下躯体蓄熱式の床暖房を提案。冬季、女性利用者から暖かい快適トイレと好評。電気料も以前と変わらず管理者からも高い評価を得た。

代表取締役 唐澤勉
高崎市貝沢町327-3
電話:027-363-3531
FAX:027-363-3432

高崎商工会議所『商工たかさき』2010年9月号

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