飾りのない豊かさを追求/エコを中心に、新しい住スタイルを提案
(2010年7月)
ソーラーウォールを設置した家。外壁を強化ガラスで覆い、太陽熱で暖められた空気を換気扇で室内に取り込む
室内側は、柱・梁・垂木等の構造材を隠さずそのままあらわにし、コストを抑えつつ自由に使えるスペースを確保する。
1級建築士 神澤宣次さん
かんざわ一級建築士事務所
神澤さん夫婦は、共に一級建築士の資格を有しており、二人三脚で家づくりに臨んでいる。「男性は理論を優先して物事を考えますが、実生活には理屈だけでは済まない問題がつきものです。私とは違った発想で、女性ならではの考えを示してくれるので、妻の意見はとても参考になります」と宣次さん。
宣次さんは、特に現場調査には十分な時間を費やす。季節や天気、時間帯等によって変化する“土地の表情”をきちんと把握し、相談やシミュレーションを繰り返しながら設計図を仕上げていく。「家は人生最大の買い物です。だからこそ、未来のあらゆるケースを想定して考えを巡らせたいと思っています。オンリーワンの家づくりには、膨大な時間がかかります」。満足してもらえる設計を完成させる為に、1年近く時間をかける場合もある。
同事務所では『派手なデザインよりも心地よい空間づくりが大切』とのコンセプトを掲げている。以前、南向きながらも、大通りに面しているため窓の設置が難しい土地での設計依頼があった。プライバシーを保ちながらも南からの日射による熱取得の必要性から、試行錯誤の結果空気交換保温システム「ソーラーウォール」を設置した補助暖房としての有効活用策を提案した(上段写真右)。「デザインとは機能の延長線上にあるものです」と、あくまで実用的な機能美を追求する姿勢に変わりはない。
時代の流れを受けて、今後の家づくりには環境問題が大きく関わってくる。天然資源の枯渇やCO2排出が危惧され、冷暖房の効率には一層注目が集まると考えられる。「時代に適合し、何年経っても高い価値のある家を実現するために、これまで力を入れてきた高気密・高断熱をさらに進化させ、開放的でありながらより高い性能を備えた家を提案しながら“本気でエコの本質を考える建築事務所”として歩んでいきたい」と意気込みを語ってくれた。
建主と共に成長する建物
未来の「時間軸」を深く考え、変わらない価値の高い空間造りに努めている。竣工時に全てを完成させるのではなく、ライフスタイルに合わせて建物が変化することを見越し、基本性能は維持しながら、深い愛着と共に間取りや設備を変えられる家造りを提案している。
高崎市旭町20
NEW STYLE BLDG.4F
TEL&FAX:027-327-8014
URL:http://kanzawa.com/can
高崎商工会議所『商工たかさき』2010年7月号