ステンドグラスも執筆もこなす明るいガラス屋さん
(2010年7月)
A4サイズの作品 15000円(額縁付き)。1年ぐらいで作れるようになる
横内さん
横内ガラス店
ガラスカッターで手際よく色ガラスを切る手は、優雅で女性らしく、窓ガラスを入れ替えている時は職人の手に変身し、力強さを感じる。物事に対してすべて前向きで、誰に対しても気さく。大雑把なのかと思うと、人の気持ちに敏感で誰かが困っていると放っておけない面倒見の良さも併せ持つ。そんな横内ガラス店の5代目。
創業は120年前。最初はランプなどの輸入雑貨を販売していた。一度店をたたんだ後、祖父がガラス屋を始め、母親が3代目。2人姉妹の長女である厚子さんは、男兄弟がいなかった母がそうしたように、当たり前にご主人とガラス屋を継いだ。ご主人が他界した今、「私は5代目」と明るく語る。温かい笑顔が、人を、幸せを呼び寄せている。
「年を取ったら、重いガラスを扱う力仕事はできない、どうしよう」。悩んでいた時、ガラス屋限定のステンドグラス教室の募集記事が目に付いた。「ステンドグラスなら体力が衰えても大丈夫、これだ!」と受講を決意し、後に平成20年教室を開校した。
ステンドグラス職人は住宅への施工知識がなく、一方大工は、建築知識はあってもステンドグラスに対する知識がないことが多い。制作と施工、両方できるのが彼女の強み。教室開校と同時に、窓にステンドグラスを希望するお客から相談が来ることもあり、新しいガラス業務の分野が広がった。
さらに、重厚感や高級感といったイメージを抱きがちなステンドグラスを身近に感じてもらおうと、色ガラス製のペンダントトップや装飾品などのネット販売も計画中だ。
また、平成17年から、南銀座商店街の情報誌「かわら版」を商店街の仲間と毎月発行し60号を数える。厚子さんは、加盟店の紹介コーナー「ちょっとお邪魔します」を担当した。もともと面倒見のよい性格。書き手がいないなら、と毎号毎号書くうちに、いつの間にか連載になってしまった。取材を通して新しく仲間に入った店とも親しくなれた。今は母から聞いたことを思い出しながら、昭和初期の檜物町の店を連載中。
「新しいことに目をつけ、率先して行動するのは祖父や曽祖父に似ているみたいです」。店や街の元気を後押しする彼女の背中を押しているのは、先祖と人情だ。
高崎市檜物町52
電話:027-322-4894
高崎商工会議所『商工たかさき』2010年7月号