あくまでもお客様本位の家づくり
(2010年6月)
K氏邸南西より、バリアフリーの家
以前暮した家の床柱を飾り柱に使用した玄関ホール
1級建築士・城田幸子さん
有限会社城田建築設計事務所
住宅を設計するときに、もっとも重視することは「動線」。炊事をしながら洗濯もできる水廻り、道路から玄関へのアプローチ、車を安全に止めやすいなど。人の動きだけでなく、風、太陽、雪など自然の動きにも注目。それらを把握して、お客さんの納得を得ながら間取り、屋根の向きや形、家の外観が決定される。もちろん予算やお客さんが気にする「方位」や「風水」の相談にものる。
住む人や自然界の動きを理解するためには、何度も現場に足を運ぶ。家が建てられる場所の風のそよぎや、太陽光の明るさを感じ取る。近隣の状況や情報も出来るだけたくさん把握する。施主との話から、住む人の個性や家族関係、どんな趣味を持っている方々か、どんな家造りを望んでいるのかなど。また終のすみかとして建てようとしているのか、将来家をどのように考えているのかを理解して設計を進める。
経験を積み、家づくりの広い領域まで知ることができた今、理解はより、真実に近づいているようだ。「お客様にご満足頂くためには、まだまだ精進していきたい」。
今までお客さんは、幼稚園児や小学校低学年の子どもを持つ若い世代が大半を占めたが、7、8年前から、退職金で家をつくるなど、中高年が住宅を建てる傾向が顕著になってきた。中には、先立った配偶者との思い出が詰まった住宅を壊して建て替えるお客さんも少なくない。以前住んでいた家の“想い出”を残すために古い家の一部を新しい家の一部に採り入れている。最近設計した家では、暮していた家の床柱を玄関ホールの飾り柱に使用した。(上写真左)
お客さんの家づくりのために、自分のスキルを生かしてきた。さらに今後は、地域のために役立てたいと考え、高崎市のトイレマップの作成、子どもを対象に富岡製糸場・東繭倉庫の模型作りやイベント「親子で街歩き」などをしている。
「これからは出来れば子どもたちへの「住教育」を考えていきたい。社会の中で住むことはどんなことかを子どもたち自身が感じ、考えることは、景観など街づくりに大切。」という。
年をとっても住みやすい家をアドバイス
平成8年から高崎市のリフォームヘルパーを行っている。これは、高齢化に対応した住宅を建設、改築しようとしている市民に、間取りやバリアフリーなどのアドバイスをするもの。平成17年にはNPO法人「住・環境支援ネット」を設立。住まいや街等の環境がより快適に、安全になるよう支援事業を行い、公共の福祉の増進に寄与している。
住所:高崎市八千代町3-8-15
TEL:027-325-6085
FAX:027-325-6175
電話:027-373-4156
高崎商工会議所『商工たかさき』2010年6月号