兄弟で支えた会社を継承し“有言実行”で結果を出す
(2010年5月)
荻野製作所
荻野高さん、修さん
株式会社荻野製作所
創業者の父が早くに亡くなると、高さんは二人の弟と一丸となり会社を盛りたててきた。言うべきことはしっかり言い合いながら仲たがいもなく、その円満ぶりは周囲が不思議がるほどだ。「会社を良くしたいという共通の想いがあるからです」と、息子で業務部長の修さんは、そんな前向きさが社風となっていることに誇りを感じている。
子どもの頃、土曜日に父親の納品についていくと、お客さんが「次期社長」と頭をなでながら飴玉をくれた。そんなことがうれしくて、修さんは自分の将来を自然と父の姿に重ねた。大学卒業後は大手機械メーカーに勤めたが、高さんの体調不良で3年ほどで家業に入った。「おまえは不器用だから製造の現場に向いていない」という父親からの指摘を受け、営業や購買、社内環境の整備などに力を注いできた。
「父の時代は見て、やって、覚えるという“暗黙知”が優先されましたが、自分は写真や文章、図表などパソコンを使った“形式知”により、技術やノウハウの浸透に努めています。また、どこまで現場活動のムダを省いて生産性を向上できるかにも挑み、4年間で大幅に改善できました」と、現場と一体となって達成した成果を誇らしく話す。
最近は、海外進出したメーカーが部品を現地調達するという流れを受け、中国に現地法人を設立するために忙しく動き、「不安もありますが、それ以上に広がる可能性にワクワクします」と目を輝かせる。
高さんも修さんも声が大きく明るい。「目標や夢は大きな声で語り、実際にやることは泥臭く地道で緻密にというのがモットーです。3代目は3倍働き3倍の結果を出せと父に言われているので、絶対にやります」という修さんに「大丈夫かなあ。心配だよね、親だから」と何度も口にする高さん。「こんなことを言っていますが、父も若い頃なら同じことをやっていますよ」と笑う修さん。同じDNAに突き動かされた似たもの親子。
高さんは、今でも毎日現場に立つ。会社と社員が大事で何より仕事が大好きという熱い想いが伝わってくる。
ちょっと一言
自動車部品や工作機械部品の製造のほか、省力機械などの設計・製作も手掛ける荻野製作所は、今年で創業64年を迎える。修さんは、この6月に代表取締役社長に就任予定。今年中に中国天津地区に新会社を稼働する予定だ。
取締役会長 荻野 高
取締役業務部長 荻野 修
住所:高崎市並榎町164(工場:榛東村)
電話:0279-54-1011
URL:http://www.ogisei .com/
高崎商工会議所『商工たかさき』2010年5月号